アミューズメント・パーク化したフェス
10年代に入ってからは、野外フェスの光景も変わってきている。
特に「四大フェス」は、すでにロックだけではないバラエティ豊かな音楽が繰り広げられる空間となっている。どのフェスも初開催から十数年の間に少しずつエリアを拡大し、ステージ数を増やしている。
フジロックは2016年時点で初年度の2ステージから13ステージまで拡大した。同じく2016年時点で、サマーソニックは8つのステージ、ロック・イン・ジャパン・フェスは7つのステージが設けられている。ライブの長さは、たいてい1アーティストにつき数十分から1時間ほど。それが複数ステージで繰り広げられ、一日中どこかで音楽が鳴っている。
ステージ数が増えたことで、出演者の数も増え、ラインナップも多岐にわたるようになった。
これらのフェスのラインナップは音楽以外のカルチャーにも広がっている。フジロックでは政治や社会的な問題を扱うトークショー、サーカスや映画上映なども催される。サマーソニックには、お笑い芸人、怪談、大道芸などのパフォーマンスが繰り広げられるステージもある。
フェスに訪れる参加者の目当ては、もちろん音楽だ。
しかし、午前中から夜遅くまでの長丁場のイベントでは、ライブを観るだけでなく、屋台のご飯を食べたり、テントやレジャーシートでくつろいだり、それぞれが自由に時間を過ごすことが当たり前になる。野外フェスは音楽を主軸にした「祭り」という本質を持ったまま、新しいタイプの「アウトドア型レジャー」として楽しまれている側面がある。
こうしてバラエティ豊かな空間へと拡大してきたフェス空間は、いわば「音楽のアミューズメント・パーク」として進化してきたと言える。
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