前回、旦那さんの言動に、セックスレスの種を見つけた場合は、すぐさま「もし私が濡れなくなったとしたら、今のこういう言動のせいだから。愛とか恋がなくなったからじゃないからね」と伝えると書いたが、もっともセックスレスへ直結しやすいのは、やはりセックスそのものへの不満だと思うので、どういうセックスをされると不満なのか、ということも常日頃から伝えている。それはこの言葉に集約される。
「おざなり・手抜きは、無理。そんなことされたら、悲しくて、もうエッチできない」
全ての男性に身に覚えがある「おざなり」
私がそう言うと旦那さんは「俺、おざなりは絶対にしないし、手抜きもしないから大丈夫」と言う。そして実際、やはり私から再三言われているだけあって、おざなりと手抜きには気をつけている感があり、だから、彼のセックスは本当に満足度が高い。
もし少しでも摩擦を感じたら(女性はみんなそうだと思うけど、まだたいして濡れてない時にそこを触ると摩擦を感じて痛い)「おざなり?」と、その場で悲しむ。そうすると彼は「おざなりじゃないよ! 絶対おざなりじゃないよ!」と言って、二度と摩擦が起きないように、手塩にかけて手間暇かけて、私の性欲タンクが溜まるような伏線を張り巡らせ、湿らせてくれる。
おざなり、と言う表現は、とても便利で、一切の角が立たないわりに、全ての男性にすごくちゃんと通じる。誰とこの話をしても、顔にハテナマークを浮かべたり、「おざなりって何? どんなセックスのこと?」と訊き返されたことがない。
先日、旦那さんの実家に帰省した際、お義父さんとその弟(彼の叔父さん)に「私、おざなりだけは、無理。そうなったら別れたい」という話をしたら、世代がこれだけ違う彼らでさえ「おざなりね……!」と痛いところを突かれたような顔をしたほどに、しっかりとその意味が伝わっていて「でもな、夫婦なんて、ほとんどおざなりだぞ」と、コッソリと語ってもくれた。
おそらく全ての男性は身に覚えがあるんだと思う。おざなりなセックスをしたことがある、という自覚があり、少しギクッとしてヒヤッとするリアリティのある表現なのだと思う。
そして、おざなりは、それこそ愛や恋の有無とは関係がなく、単純に慣れるとやりがちで、2人の関係が安定し「2人の愛は本物だから、俺が何をしても引かれない」という安心と、ある種の信頼を抱いた時に、おざなりや手抜きをやっちゃいがちなんだと思う。
だからこそ私はこまめに言う。「おざなりと手抜きは無理だよ」と。ただし「好きじゃないの?」「愛してないの?」とは言わない。セックスの仕方がどう変わっても、それで旦那さんの気持ちを疑ったりはしない。それは本当に関係がないことだから。
そして「甘んじてるの?」と重ねる。おざなりや手抜きというのは、こちらの愛情に甘んじているだけなのだろうから。
「感じやすさ」は、起床時間や眠気が関係してくる
とはいえ、確かに気持ちの問題は、セックスの良し悪しの一部を担っている。
けれど、気持ち以外でセックスの良し悪しのカギを握っている要因もたくさんあって、セックスレスに陥りたくない相手に、知らせたほうがいいことがあるとしたら、圧倒的にそっちの物理的な情報だと思う。
私は彼に「今の、気持ち良かった」という感想を伝える時、それがなぜなのかの物理的な情報も添えるようにしている。
例を1つあげると、感度というのは起きてから5時間後以降、14時間以内くらいが、もっとも良くて、起きてすぐは身体がかなり鈍いから感じづらいし(分厚い皮を被ってるみたい。ちなみにコレは味覚も同様。だから美味しいものは夕飯がベスト)、逆に起きてから時間が経ちすぎると、もはや眠い時間になってくるので、睡魔がうろつき始めたら最後で、ゴールデンタイムに比べるとやはり少し鈍くなる。
「なんでそんなに気持よかったの?」と訊かれたら、「今日は起きてからいっぱい時間が経ってるし、まだ眠くないから、感度が高かったの。すごく気持ち良かった」という風に答える (彼の手練手管のこともホメる) 。
彼が残業で帰宅が遅れた場合は「さっきまで眠くなかったのに……早く帰ってこないから、もう眠くなっちゃった。一番気持ちいい時間逃しちゃった、悲しい」とも言ったりする。
そうすると、仮にその日が濡れづらかったとしても彼は「今、この子は感度が鈍いんだから、そりゃそうだよな」と腑に落ちるので、愛や恋を疑われることがなくなる。
「どうしてこんなに気持ちいいの?」に対する身も蓋もない彼の返答
このようにして、どうされると私にとって「良いセックス」なのか、そして「悲しいセックス」なのかを、彼が把握できていることは、私たちがセックスレスを回避できている理由の1つだと思う。
「好きなら濡れるはず」「愛しているなら抱いてよ」なんて強引すぎるし、思いやりのカケラもないし、それこそ愛がない。そんなこと言われたら、私なら100年の恋も冷めるし、せっかく育ってた愛も壊れてしまう。
平均点を超えて、とんでもなく気持ちが良いセックスをできる時、というのがある。これは物理的な要因が黄金比の場合にありつけるものなんだと思う。
旦那さんとのセックスは、言葉のやり取りが、かなり多い。初期の頃はそうでもなくて、婚約から半年過ぎた頃から徐々に言葉を交わすようになり、どんどん増えていったので、お互いのエロいと思う会話のツボが合っていたために定着した文化なのだと思うのだけど、とんでも級のセックスをできた時、その最中に「どうしてこんなに気持ちいいの?」と訊くことがある。そうすると旦那さんは必ずこう答える。
「生だからだよ」
身も蓋もないことを、と思う。普通は「愛があるからだよ」とでも言いそうなのだけど、彼は必ず物理的なことを理由に挙げる。私は彼のこういうところ、セックスの良さと、愛や恋を混同しないところが好きだ。
並外れて感度の高い旦那さん
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