紅白大トリ・嵐に至るまでの特記事項

新年あけましておめでとうございます。2017年最初の「ワダアキ考」はNHK紅白歌合戦の話。年末、武田砂鉄さんから「司会の相葉雅紀でいきましょう」と提案があり、実際不慣れな司会っぷりに評しがいのあるトピックスが多かったのですが、武田さんの目を引いたのは全く別の出演者だったようです。見た人も見てない人も、武田さんの紅白評、ぜひお楽しみください。今年もよろしくお願いいたします。

ゴジラ襲来を先んじて察知したX JAPAN・PATA

「今年もまた和田アキ子が紅白に出ている」という確認作業を済ますのは、彼女が歌う場面ではなく、番組開始すぐに全員が壇上に揃う場面だった。必ず紅組司会者の近くという好位置を陣取り、慣れない司会に臨む女優らを励ましつつ、「絶対勝つぞ!」などと対決姿勢を鼓舞してきた。彼女が出演しなかった今回、鼓舞する役割を誰かが引き継ぐわけではなく、旧・和田ポジションに陣取った石川さゆりや大竹しのぶや高橋真梨子はその対決姿勢をさほど煽らなかった。第1列の動きが少なくなった結果、第2列、第3列の表情も同時に目に入ってきたが、カメラが相葉雅紀と有村架純の2ショットに絞る度、後方にいるX JAPAN・PATAの強張った無表情が必ず画面のセンターにくるのだ。

直前のニュースで報じられたリハーサル映像では、集合シーンは名札を掲げたスタッフが代理で立ち位置を確認していたので、後列のPATAの無表情がこれほどの存在感を放ってくるとは想定していなかったはず。もしかして、ゴジラの襲来を一人だけ先んじて察知していたのだろうか。番組開始から数曲は出場者全員が揃った状態で賑やかに歌い上げるのが通例だが、PATAは微動だにしない。番組後半でYOSHIKIが「僕たちが止めます」と宣言し、X JAPAN「紅」でゴジラが凍結されたわけだが、やはりPATAは、ゴジラの襲来をこの時点で察知していたのかもしれない。

三山ひろしはけん玉から竹とんぼへ移行するはず

和田アキ子落選の報に隠れて、ひっそりと出場を逃したのが伍代夏子(出場回数22回)と藤あや子(21回)。結果的にすっかり層の薄くなった女性演歌陣だが、デビューから23年にしてようやく初出場を果たした市川由紀乃の情感あふれる歌唱が圧倒的だった分、橋本マナミをダンサーに従えた香西かおりの不安定な歌唱と、でかいモノがそびえ立ったらとにかく映像を映すのが流行りらしいぜ、との風潮に乗っかっただけに思えた水森かおりの巨大衣装の無個性が寂しかった。

昨年もこのコラムで紅白歌合戦を考察したが、「何がしかの寸劇に巻き込まれる山下穂尊や三山ひろしを見たくってたまらない」と締めくくっている。今回、三山ひろしは、巨大なけん玉を肩からぶら下げて、けん玉が得意な男たちをバックに従えた状態で、四万十川の清流について歌い上げた。けん玉と清流という奇妙な掛け合わせを指摘させません、とでも言いたげな三山ひろしの目力が強い。ブログの自己紹介欄には、「特技:竹とんぼ製作」ともあるから、次の紅白はけん玉から竹とんぼに移行すると予測しておく。

「お父さん」と呼ぶマツコ・デラックス
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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mixednuts25 |武田砂鉄 @takedasatetsu |ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜 新刊出るんか… https://t.co/qN0gxeFRCY 2年以上前 replyretweetfavorite

517beer https://t.co/1Skp1aFE7X 私はまだパタの話をしている 2年以上前 replyretweetfavorite

tombogame 紅白、音声ぼんやり聴いてただけだけど、こういうの読めるためにも聴くだけ聴いてて良かったと思った。 2年以上前 replyretweetfavorite

RyotaTakimoto “曲と曲との間に何らかの要素を盛り込まなければならないとの強迫観念が、歌い手のために確保すべき歌い出しと終わりの数秒の余白を剥奪する結果となり、その山積が歌自体を軽視している印象を作り上げてしまった” まさに。 QT:武田砂鉄 https://t.co/7Zp6wYfHUl 2年以上前 replyretweetfavorite