こだま
けんちゃん、さくらい翔の家賃を管理する「もうパンクしちゃうよ、ぼ、僕は時間が無いのに」
“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。その書籍化を記念して、その外伝がcakesで特別連載です。
子供の頃から憧れていた教職に就くも、精神を病み離職したこだまさん。引きこもりを経て、最終的に辿り着いたのはとある障害者施設の職員でした。そこに入所する少年けんちゃんと心を通わせるうち、彼の独創的な世界観に心を奪われるようになります。そんな、けんちゃんと過ごしたかけがえのない日々を綴ります。
けんちゃんが「い、忙しい、も、もうパンクしちゃうよ、ぼ、僕は時間が無いのに」と怒っている。
お小遣い帳の記入が追いつかないという。その使い古したノートを見せてもらうと、どのページもびっしりと書き込んであった。
どれどれ、えらいなあ。感心しながら目で追っていくと、「家賃」と書かれたページに「さくらい翔」「あいば」「にのみや」「まつもと」「おおの」とある。
いや、まさか。そんなことがあるだろうか。隣には金額が記入してあった。
「さくらい翔」が一番高い部屋に住んでいるようだ。家賃10002円の部屋だ。端数だ。「水道」、「ガス」、「ボーナス」のページもある。ガス代は、さくらい500円、あいば502円、にのみや302円と書いてあった。メンバー間の格差はいったん置いておくとして、なんなんだこの2円という端数は。
とんでもないお小遣い帳である。個人情報が漏れまくっている。
「毎日書いてるの?」
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“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。
この連載について
こだま
“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。その書籍化を記念して、その外伝がcakesで特別連載です。
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著者プロフィール
主婦。ブログ『塩で揉む』が人気。自主制作した同名ブログ本は同人誌即売会・文学フリマで異例の大行列を生む。現在、『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』で連載中。本書『夫のちんぽが入らない』がデビュー作となる。