こだま
けんちゃん、ペプシを禁じられる「ぼかぁ、ペ、ペプシが飲みたいんだよう」
“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。その書籍化を記念して、その外伝がcakesで特別連載です。
子供の頃から憧れていた教職に就くも、精神を病み離職したこだまさん。引きこもりを経て、最終的に辿り着いたのはとある障害者施設の職員でした。そこに入所する少年けんちゃんと心を通わせるうち、彼の独創的な世界観に心を奪われるようになります。そんな、けんちゃんと過ごしたかけがえのない日々を綴ります。
けんちゃんがドアの陰で「ぼ、ぼかぁ、ペ、ペプシが飲みたいんだよう」と、めそめそ泣いていた。
担当の先生との約束を五日連続で破ったけんちゃんに大好物のペプシ禁止令が出たらしい。もう三日もペプシを飲んでいないという。
喉が渇いたと泣き続ける彼に「食堂でお茶飲もうか」と誘ってみたが、「ペ、ペプシじゃないと、ぼ、ぼくの喉は!」と、この世の終わりのように嗚咽した。
こんなにもペプシを渇望する少年はアメリカ本土にもいないだろう。
とりあえずペプシから話をそらすことにした。
「春休み、おじいちゃんちに行ったの?」
「い、行くかよ。ペ、ペプシ出してくれよぉ」
「ワンピース観た?」
「ペ、ペプシ返してよぉ」
「アイフォン使えるようになった?」
「ペプシだよぉ」
「アイフォンで何のゲームやってるの?」
「なめこアプリだよぉ!!!」
きたー! 食いついた!
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“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。
この連載について
こだま
“夫のちんぽが入らない”衝撃の実話――交際してから約20年、「入らない」女性がこれまでの自分と向き合い、ドライかつユーモア溢れる筆致で綴ったこだまさんの“愛と堕落”の半生。その書籍化を記念して、その外伝がcakesで特別連載です。
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著者プロフィール
主婦。ブログ『塩で揉む』が人気。自主制作した同名ブログ本は同人誌即売会・文学フリマで異例の大行列を生む。現在、『クイック・ジャパン』『週刊SPA!』で連載中。本書『夫のちんぽが入らない』がデビュー作となる。