2015年公開の『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』から、5年に渡って連続公開される予定の『スター・ウォーズ』シリーズ作品。エピソード7からエピソード9までの3作が隔年で発表され、合間に2作のスピンオフ作品が予定されている。本年度公開の『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』は、いわば外伝と位置づけられるフィルムだ。
具体的には、『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』(’77)の冒頭で説明されていた、「反乱軍スパイによる、敵の巨大兵器デス・スターの設計図奪還」がどのようなミッションであったかが題材となる。アジア系の俳優が主要キャラクターとして起用されるなど話題も多く、どのような作品になるのか、公開前から大きく注目された。監督は、『GODZILLA ゴジラ』(’14)などを手がけたギャレス・エドワーズ。
『スター・ウォーズ』シリーズがこれほどに支持されるのは、アメリカ文化を象徴するポップ・アイコンとしての魅力だけではなく、神話学に基づいた物語構造が備わっているためだろう。一度見れば忘れられないユニークなデザインのキャラクターや宇宙船、魅力的な音楽によって演出される神話。『スター・ウォーズ』生みの親であるジョージ・ルーカスは、大学時代に神話学者ジョゼフ・キャンベルの講義を受けており、彼の神話論が作品に取り入れられているのはよく知られた逸話だ。
つまり『スター・ウォーズ』シリーズとは、洗練されたデザインによってポップ・アイコンの領域まで高められた神話であり、英雄譚なのだが、一方で「普通の人びと」を描くタイプの作品ではなかったと言える。これまで、フォースと呼ばれる特殊な能力を備えた英雄たち(ジェダイ)の神話であり続けた『スター・ウォーズ』が、初めて「普通の人びと」を描いた点に、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』の新しさがあるだろう。
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