人気を測る尺度が複数になった
こうして大型音楽特番の放送時間は拡大し、出演する歌手やアーティストも増えるようになった。2016年の『FNSうたの夏まつり』は全107組が出演、171曲を披露するという、かなり大掛かりな構成となった。
出演陣の世代やジャンルも幅広い。AKB48やモーニング娘。、ももいろクローバーZなどの女性アイドルグループ、嵐やNEWS、Kis-my-Ft2などのジャニーズ勢、EXILEや三代目J Soul BrothersやE-girlsなどのLDH勢が出演し、一方で谷村新司や和田アキ子や夏木マリなどのベテラン勢も登場した。
小室哲哉はTRFや華原朋美などかつてのファミリーと共に90年代のヒット曲を「TKメドレー」として披露した。水樹奈々のように数々のアニメ作品で声優として活躍するシンガーも出演し、いきものがかり、秦基博、スキマスイッチなど00年代以降のJ-POPを支えてきたアーティストも揃い、トリは桑田佳祐がつとめた。このラインナップは番組の総合演出をつとめる浜崎がいろんな尺度で決めているという。
ただし、その尺度を持つのが難しくなっているのが、10年代のJ-POPの特徴だ。前章で書いたように、もはやオリコンチャートはかつてのような指標としては機能しなくなっている。ヒット曲が見えづらい時代に、どのようにしたらアイドルやアーティストの人気を測ることができるのか。
『FNS歌謡祭』の総合演出を務める浜崎綾は「定規」という言葉でそれを説明する。
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