​人を嫌いになる理由

時々、接客術の本を読むことがあるbar bossa店主・林伸次さん。どこの本を読んでも「お客さんを好きになる」と書いてあることに疑問を持ったようです。やっぱりどうしても好きになれない人はいるもの。そこで林さんは、どうして人を嫌いになるのか、その理由を考えました。掲載中の石渡康嗣さんとの対談記事とあわせてお読みください。

願望憎悪と同族嫌悪

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

「接客業の極意」みたいな本を読んでいると必ず書いてあるのが、「お客さまの良いところを探して、その人のことを好きになろう」というものです。来店するいろんなお客様の中に「あ、この人ってこういう優しさがあるんだ」とか「この人って見栄をはらない正直な人なんだなあ」って感じで良いところを見つけて好きになると、その好意が相手に伝わって向こうもこちらに好意を持ってくれるので、何かとコミュニケーションがうまくいくんだそうです。

なるほど。とてもよくわかるのですが、人間同士ってそこまで綺麗事ではないと言いますか、やっぱり「好きになれない人」っているものですよね。はい。はっきり言いますと、お客さまの中にどうしても「嫌いな人」っているものです。もちろんそう感じるのは接客業のプロとしては失格なのかもしれません。

でもやっぱりそういう「嫌いな人」っているもので、「どうして僕はこの人を嫌いなんだろう」というのをひたすら分析して、できれば「嫌いな気持ち」を可能な限り少なくするか、あるいは「嫌いな気持ち」を出来るだけ客観視することにしています。

さて、どうして僕たちは誰かを嫌いになったりするのでしょうか。というわけで今回は、その理由を考えてみることにします。

昔何かで読んで「なるほど」と思ったのが、「誰かを嫌いと感じることの全てが願望憎悪と同族嫌悪のどちらかだ」ということです。これ、わかりますよね。まず願望憎悪は、「羨ましいなあ。あんな風に成功してお金持ちになりたいなあ」と本当は思っているのだけど、それを認めると今の成功していないお金もない自分がミジメなので、「ふん、あんな成金大嫌いだ。趣味悪い」とかって思うパターンです。

あるいはわかりやすいところでは「リア充なんて大嫌いだ」というものですね。本当は自分もそうなりたいのですが、「嫌い」と表明することで自分を守っているのでしょう。僕もよくやってしまいます。ほんと、羨ましいとそれを認めたくなくて「ああいうのイヤだなあ」って言ってしまいます。

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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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denshion1 人を嫌いになる理由|林伸次 @bar_bossa |ワイングラスのむこう側 「心を透明にする」 https://t.co/jsrW2VZiRL 3ヶ月前 replyretweetfavorite

Midoreeeene https://t.co/r8QMZtkK4K 自分のことを嫌ってる「好き嫌いで態度を変える人」と上手く仕事をやるコツをとは。約束交わしビジネスライクに、とはいうがその約束提案を拒否される恐怖と、続いてせねばならない交渉の億劫さ。その人が嫌ってない人を中に立てるがそれにも罪悪感 3ヶ月前 replyretweetfavorite

pharuki 人を嫌いになる理由 | 嫌なやつとのコミュニケーションは心を透明すればいいって記事。贈り物を受け取らなければ贈った人のものになるように、嫌味や文句もキャッチしなければ相手のところに戻るんだって話を思い出した。 3ヶ月前 replyretweetfavorite

hamousa_463 人を嫌いになる理由|林伸次 @bar_bossa | よくわかりまてん。 3ヶ月前 replyretweetfavorite