先日実家に立ち寄った時のこと。台所の流しに蕪の葉が三束放ってあったので、捨てるなら貰って良いかと母に尋ねました。
「いいけど……。生活、苦しいの?」
え。
「お米も持っていく?」
うーん……ありがと、大丈夫。
母にとってカブの葉は捨てるものであり、それを貰って食べるなんて貧しさの証。そして貧しい者にはまず米を与えようという発想が、現代離れしているというか何というか。いや、ありがたいけどね、お米貰ったら。新聞紙に包んだ葉っぱをトートバックに挿して帰りの電車に揺られながら、いわゆる「時代」なんてもののことをしみじみ思いました。あ、母は昭和二十二年、私は昭和五十五年生まれです。
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