素朴で安心なものを食べさせたい【第3回】

ジャーナリスト・佐々木俊尚さんの最新刊『そして、暮らしは共同体になる。』がcakesで連載スタート!全原稿を火・木の週2回で公開します。ミニマリズム、シェア、健康食志向・・・今、確実に起こりつつある価値観の変化。この流れはどこへ向かうのでしょうか?
『粗食のすすめ』をきっかけに食卓が変化したという紫原明子さん。どのように変わったのでしょうか。好評の佐々木さんの野菜レシピは「トマトグラタン」です。

素朴で安心なものを食べさせたい

 明子さんも『粗食のすすめ』を読み、素朴な和食の大切さに感銘を受けました。だんだんと和食をつくり、番茶を淹れて夕食を楽しむようなスタイルに変わっていったといいます。数年前からは、仕事がつらかった時期に、癒しを求めてパンづくりもはじめました。

「つらいときにパンを焼くと、気持ちが落ち着く。生地をこねて、一次発酵は人肌ぐらいの温度にするので、発酵して膨らみつつある生地を触っていると、まるで人の手に触れているような安心感があるんです。パンは気まぐれで、ほんのちょっとの違いでひねくれて膨らんだり膨らまなかったりする。でも、パンは逃げたりしないし、ちゃんとやればちゃんと育ってくれる。愛おしいんです」

 さまざまなできごとがあった後に彼女は離婚し、子ども二人を引き取って独立して暮らすようになり、健康的な食事をつくる時間を捻出するのに苦労するようにもなりました。それでも、できるだけ質素で美味しいものを子どもたちにと、ていねいな食事をいつも心がけています。

 地元の九州ではよくつかわれているあご(飛び魚)の煮干しでだしを引き、醤油とみりんで味をつけたつゆをつくり、油揚げもていねいに甘辛く煮て、きつねそばをつくる。

 千切りのキャベツに塩昆布を和え、おにぎりと一緒に。

 やわらかいオムレツと、ソーセージ。

 週末のブランチはいちばん余裕のある時間なので、楽しく料理をします。

 子どもたちは育ち盛りで肉を食べたがり、和食にはあまり反応が良くないのですが、そういう時は明子さんはぴしゃり。

「うちは外食が多いんだから、こういうときぐらいちゃんと食べなさい」

 子どもたちが好きで、つくるのもかんたんで、そして安心して与えられる料理。これをすべてかなえるのは、けっこうたいへんだと思います。わたしは子どもはいませんが、こんな料理を考えてみました。

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ジャーナリスト・佐々木俊尚が示す、今とこれからを「ゆるゆる」と生きるための羅針盤

そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚
アノニマ・スタジオ
2016-11-30

この連載について

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そして、暮らしは共同体になる。

佐々木俊尚

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コメント

sasakitoshinao 「数年前からは、仕事がつらかった時期に、癒しを求めてパンづくりもはじめました」と紫原明子さん。トマトグラタンのレシピも載ってます。 4ヶ月前 replyretweetfavorite

anonimastudio 今回も紫原明子さんが登場、おいしい野菜レシピも好評です!“@cakes_news: ” 4ヶ月前 replyretweetfavorite