理解できる範囲に押し込めて「理解した」って言うな

友達になりたいと相手と、必ず友達になれるというわけではないのかもしれません。牧村さんも子どもの頃、友達になりそびれてしまった相手がいるそうです。いつも「……うん。」としか言わないあやかちゃんと仲良くなるきっかけを作ろうとした時、それを隔てたのは「子どものことを理解している」という大人だったそうです。「他人を理解する」とは一体どのようなことなのでしょうか。

「子どもはわかりやすいねぇ~」

そう言う大人が、本当に子どものことを理解していたことなんか、ない。

子どもだったころ、私は、あやかちゃんと友達になりたかった。あやかちゃんは静かな子だった。細くて、弱くて、ちいさくて、いつも困ったような顔をしていた。

だいたい、「……うん。」としか言わなかった。だから、あやかちゃんの周りには、あやかちゃんに「……うん。」と言ってもらいたい用事のある子ばかりが集まった。

「そのお菓子ちょうだいよ」
「……うん。」

「おもちゃ貸してよ」
「……うん。」

あやかちゃんの手には、いつもなんにも残らなかった。

そうして全部をあげてしまって、あとはぽつんと立っている、細くて、弱くて、小さくて、「……うん。」しか言わないあやかちゃん。彼女のことをまわりの大人は、やっきになって守ろうとした。しだいに、「あやかちゃんに近づく子どもはみんな、あやかちゃんから何か奪いたい子なのだ」と決めつける大人も出てきた。

この続きは有料会員の方のみ
読むことができます。
cakes会員の方はここからログイン

この連載について

初回を読む
ハッピーエンドに殺されない

牧村朝子

性のことは、人生のこと。フランスでの国際同性結婚や、アメリカでのLGBTsコミュニティ取材などを経て、愛と性のことについて書き続ける文筆家の牧村朝子さんが、cakes読者のみなさんからの投稿に答えます。2014年から、200件を超える...もっと読む

この連載の人気記事

関連記事

関連キーワード

コメント

makimuuuuuu マジで結局ヘテロと同じラブラブおしどり夫婦〜〜感動〜〜愛〜〜〜みたいな形に押し込まれる感じほんとつまらんし、おれは愛する女の話を二度と公の場ではしないですね https://t.co/w3Dzxqp0Ot 約2年前 replyretweetfavorite

nznnrotten タブー扱いしてタブーを作る番組、あるあるだなあ 5年以上前 replyretweetfavorite

lazyangercry |牧村朝子 @makimuuuuuu |女と結婚した女だけど質問ある? これは好きだな 凄く大事なことだと思う うちは安易に「理解」とか使えない (冗談では云うけど) https://t.co/JbTAfABqeb 5年以上前 replyretweetfavorite

yoko_forest 自分の理解の範疇に閉じ込めるってこういうことなんだなと教えてくれるコラムです。 https://t.co/ku1xJ61T4c 5年以上前 replyretweetfavorite