桜ノ雨

第3回 春 音浜高校一年 鈴(リン)

入学早々、蓮ともども生徒指導に呼び出されてしまった鈴。体育館では部活紹介が始まって…。

ボーカロイド楽曲の名曲「桜ノ雨」を原作にしたノベル第2弾『桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡』の発売を記念して、第1弾ノベル『桜ノ雨』の一部を公開します。



「うちのクラス初の生徒指導だよ、鈴」
 めぐが、こっそり後ろから耳打ちした。
「やっちゃったぜ」
「ねー、あとでどんなことされたか教えてね」
「つか、なんかめぐ嬉しそうなんですけど?」
 彼女は高校で初めてできたアタシの友達。
 恋バナとおしゃべりとジルの化粧品が好きな、ふわふわした女の子だと思ってたけど、今日はちょっと違った感じだ。頬も少し赤くなっている。
「だってあの先生かっこいいじゃない。あたしもあんな風に、赤いパンプスで世界を変えてみたい」
 ……どうやらアタシが知らないだけで、ほかにも相当な噂が立っているようだった。
 たしかに芽依子先生は赤いパンプスを上履き代わりにしていて、ちょっと変わった先生だけど、こういうのって女子校ノリじゃないかな。
 いつのまにか先生の話は終わっていて、話の内容なんか全然思い出せないけど、これからどうするんだろう。
 そんなことを思っていると号令がかかって、アタシたちは体育座り。体をよじってめぐのほうを向いた。
「ねーめぐ、もう一限終わりなのかな」
「聞いてなかったの? これから部活紹介が始まるんだって。鈴は部活どうする?」
「茶道部かな」
「わ」とめぐは嬉しそうな声をあげて、「あたしも茶道部目当て」
 お菓子好きだもんねー、と言っためぐに、ねー、と同調した。
 やっぱこの子わかってるなー。
 めぐみたいな気の合う子が後ろの席にいてラッキーだった。
 入学初日に思いきって話しかけたら、すっかり意気投合してしまったのだ。中学からの友達もいるけど、今じゃ一番仲がいい。

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桜ノ雨

スタジオ・ハードデラックス /藤田遼 /halyosy

「初音ミクたちが学園生活をしていたら――」 230万超の動画再生回数を誇るボーカロイド楽曲『桜ノ雨』のノベル化第2弾『桜ノ雨 僕らが巡り逢えた奇跡』が発売中!cakesでは、前作『桜ノ雨』の一部をご紹介します。(月・木更新) ...もっと読む

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