ネットワークで「変人」を守ろう
北川 日本の教育はまだまだだとしても、ビジネスにはイノベーションを起こす人が、ちらほら出てきていると思うんです。ソフトバンクの孫さんや、ファーストリテイリングの柳井さん、楽天の三木谷さんなどは、ドメスティックな文脈から抜け出していますよね。そういう方々が、ノンリニア(非線形的)なエフェクトを起こすためには、ネットワークをつくらなきゃダメだと思うんですよ。
茂木 そうかもしれない。意外とみんな孤立してるんだよね。
北川 1人で奮闘していると、やっぱり叩かれますからね。つながれば、つぶされずに、いいところを伸ばし合うことができるはず。じつは、灘校もそうなんですよ。あそこは、外部にいたらバカにされそうな変人がたくさんいるんですけど(笑)、その変わっている部分を「それめっちゃカッコいいね」って認め合うから、伸びていけるんです。
茂木 それは、いい環境だね。
北川 コミュニティの環境を整えて、イノベーションの核になる人たちを守っていけるといい。一気に変革するのは難しいですが、ステップを踏んでネットワークを構築していけば、徐々に日本も変わっていけるんじゃないかって。だから、みんなをつないであげることが、これからの仕事なのかもしれないと思うんです。
茂木 そうだね。1人、2人だったのが、4人、10人、とつながっていくと、どこかでぐわーっと流れができる。いまは、みんな疑心暗鬼で自分を守る方向にいきがちだけど、それをコラボレーションの方向に持っていくことが大事だね。
北川 明治期の文壇で、白樺派や耽美派など、さまざまな派閥ができていったのも、似たエフェクトなのかなと思うんです。同じような思想をもつ人たちが、自然発生的にあつまって高め合う。その仕組みを、今だったらネットの世界を利用するなどして構築していけばいいと思うんです。
茂木 イノベーションを起こすためには、やっぱりネットワークのなかにいろんなエスニックバックグラウンドの人を混ぜるべきだと思うな。暗黙知を共有する居心地のいいネットワークには、ならないかもしれないけど。
北川 それは絶対必要なことですね。少しくらい軋轢を生んでもいいと思います。
それと少し関係した話なのですが、ブレインストーミング(ブレスト)って、「批判してはいけない」というルールを設けたりしますよね。じつは、批判的にやらなければ1人で考えてるほうがいいって言う研究結果もあるんですよ。同じような考えの人たちで「それいいね」って言ってるだけじゃ、いいアイデアは生まれない。みんなで批判的な意見を交わし合って、アイデアを練っていくほうがいいかたちになるんです。
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