このPに訊け!

第0回】その3 プロデューサーとは巻き込む人である

プロデューサーアンケートの続き。映画、出版、ニコニコ動画からPTA会長(!)まで、ものつくりの現場から、尊敬するPの名前がどんどん飛び出して盛り上がってきました。クリエイターを愛したりほめたり追い込んだり、心の底では嫉妬してたり……プロデューサーって案外複雑な生き物みたいです。

PTA会長もプロデューサー 

レイズナ 尊敬するプロデューサーとして岸裕司さんという方があがってます。〈PTA会長として一般保護者を組織化し、秋津コミュニティという地縁団体を作り上げた実績。同じPTA役員経験者として、ボランティア団体を創設することの難しさはよく知っているつもりなので、本当にすごいことをされたと思っています〉(杉江松恋/フリーライター)。PTA会長経験者の杉江松恋さんならではの回答ですね。

アライ へえ、たしかにそういうひともプロデューサーだよねー。あ、こういうのもきていたよ。〈小川真司さん。「ジョゼと虎と魚たち」「クワイエットルームにようこそ」他の映画プロデューサー。質が高くて話題になる映画を企画されていると思います。個人的な思いを大切にしている印象が好感触。たとえば「グーグーだって猫である」。原作は淡々としたエッセイ漫画なので、普通は映画にはならないでしょう。それをストーリー性のある映画の企画として通すためには、原作者や各方面との信頼関係がないと無理だと思う〉(枡野浩一/歌人 43歳男性 『ひとつの歌』 (杉田協士監督。10/13から渋谷ユーロスペースを皮切りに全国順次公開の映画に重要な役で出演。枡野書店開業中)

レイズナ あと、青山雄一さん(企画ディレクター)が尊敬しているのは、星海社の太田克史さん。

アライ 太田さん、講談社で『ファウスト』を立ち上げたのち、星海社副社長になった出版業界の風雲児ですね。

レイズナ 〈佐藤友哉の1000ドル小説の旅発刊の際、おそらくは佐藤友哉の執筆が遅れたため、移動中にも原稿を書くことになった。これって普通に考えれば、作家が締め切りを守らなかっただけで「おいおい早くしろよやべーよ」ってだけのエピソードのはずが、太田克史と星海社編集部一同のツイッターやブログによって佐藤友哉が読者に小説を届けるために、「移動時間ですら物語を書いているんだぜ! 」っていう演出をしたところ。ただ締め切りをやぶってヒーヒー言っているだけの佐藤友哉をなんかすごいことをしているように切り取る。こういうのがいつもうまいと思います〉ですって。ピンチをチャンスに、上手く魅せられることができるかどうか。

アライ クリエイターをのせると同時に追い込んでいくようすがわかるね。プロデューサーの必須条件として〈「この企画(この人)は絶対に面白い」と自分が誰よりも信じることが、いろんな人を巻き込んで形にしていくこと〉(石原壮一郎/コラムニスト)。〈巻き込み力〉(藤井麻男/Webプロデューサー)〈人を繋げる『橋渡し力』〉(匿名希望 映像・46歳)と、人を巻き込む、いわゆるひとたらし力も必要とされてるみたい。の飴と鞭を使いこなしてるイメージはあるなあ。

レイズナ 飴と鞭といえば、ニコニコ超パーティー、ニコニコダンスマスター、ボカニコナイトなどを手がけた、ドワンゴのあべちゃんですね。〈最高のモノをユーザーに届けるために妥協を許さない。座右の銘は「ニコニコ動画を通じて,僕は世界に愛と平和を届けたい」で、結構マジで言っている。部下や担当Dはイベントが近づくにつれて死んでいくが、それでもあべちゃんについていく〉と青山くんが絶賛しています。

アライ じぶんから夢中になっていく能力も重要、あべちゃん会ってみたいなー。一方で〈物を作っていないけど、クリエイターのポジションにいる〉(宮川真紀/編集者)というイメージも。クリエイターを愛しながらも嫉妬する気持ちもあったりして……。サリエリだなあ、考えすぎ?

レイズナ うわあ、ドキっとしますね。そこがコンプレックスになっている人もきっといると思います。ゲームデザイナーの飯田和敏さん(43歳男性 みんなで遊ぶ海底散策『イージーダイバー』制作中)もこう言っています〈基本的にはうさんくさい。他者の創作物をヒットさせ金儲けすることで自己実現するが、そこにはクリエイションに対する複雑な想いがあり、それが垣間見えた時、愛すべき存在に思える〉。

アライ そこから〈愛人がいてその女性の前では甘えん坊〉(石原壮一郎/コラムニスト)というイメージも出てくるのかも(笑)。

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このPに訊け!

加藤レイズナ

プロデューサーってどんな仕事? 知ってるようで知らない、でもなんだか大物感漂うこの職業について、若いライターが体当たりで切り込んでいく連載。Pの醍醐味から仕事の信条、ときには危険な領域まで(!?)とことん追っていきます。(休載中)

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