なぜ今、「ヒットの崩壊」が起きているのか?

「音楽不況だから……」。そんなことを耳にすることがあります。でも、本当にそうなのでしょうか? 音楽の〝現場〟は今、どんな状況なのでしょうか?
音楽ジャーナリスト・柴那典さんがその実情と未来への指針を解き明かす新刊『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)。その内容を特別掲載します(毎週火曜・木曜更新)。

音楽シーンを襲う異変

 「最近のヒット曲って何?」

 そう聞かれて、すぐに答えを思い浮かべることのできる人は、どれだけいるだろうか? よくわからない、ピンとこないという人が多いのではないだろうか。

 かつてはそうではなかった。
 昭和の歌謡曲の時代も、90年代のJ-POPの時代も、ヒット曲の数々が世の中を彩っていた。毎週のヒットチャートを見れば、何が流行っているのか一目瞭然だった。テレビの歌番組が話題の中心にあった。

 でも、今は違う。シングルCDの売り上げ枚数を並べたオリコンのランキングを見ても、それが果たして何を示しているのか、判然としない。流行歌の指標がどこにあるのかわからない。それが今の日本の音楽シーンの実情だ。
 果たして何が起こっているのか?

 「音楽不況だからしょうがない……」
 そんなことを言う人もいる。確かにCDの売り上げは右肩下がりで落ち込んでいる。

 しかし、音楽の〝現場〟には、今も変わらぬ熱気がある。それは、音楽ジャーナリストとして20年近くロックやポップ・ミュージックについて取材と批評を続けてきた筆者の正直な実感だ。音楽フェスの盛況、ライブ市場の拡大もそれを裏付ける。

ヒットをめぐる構造的な問題

 では、なぜヒットが生まれなくなったのか?

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この連載について

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ヒットの崩壊

柴那典

「心のベストテン」でもおなじみ音楽ジャーナリスト・柴那典さん。新刊『ヒットの崩壊』では、アーティスト、プロデューサー、ヒットチャート、レーベル、プロダクション、テレビ、カラオケ……あらゆる角度から「激変する音楽業界」と「新しいヒットの...もっと読む

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コメント

k_sato_oo 「過去、一度たりとて音楽を制作する側がヒットを作ったことはないんだ。作る側はあくまでも〝作品〟を作ったのであって〝ヒット曲〟は聞く人が作った」 2年弱前 replyretweetfavorite

consaba 柴那典「「最近のヒット曲って何?」 そう聞かれて、すぐに答えを思い浮かべることのできる人は、どれだけいるだろうか?」 2年弱前 replyretweetfavorite

naitousou 一昨日発売した本の大まかな内容を紹介。ヒット曲の定義が昔と今とでは大きく変わってきてるようで… 2年弱前 replyretweetfavorite

consaba ヒットは聞く人が作る  2年弱前 replyretweetfavorite