ブサイクは、「ハワイに行きたい」と答える女の子は諦めろ【能町みね子✕マンボウやしろ】

「ブサイク」という一点だけで、これまで辛酸を嘗めてきたマンボウやしろさん。特に恋愛市場で不利なブサイク男子は、どんな異性を狙えばいいのでしょうか?

「よしもとブサイクランキング」で3年連続1位を獲得し、殿堂入りを果たしたマンボウやしろさんの初著作『ブサイク解放宣言』(ヨシモトブックス)から、マンボウやしろさんと能町みね子さんによる対談を特別掲載します。今を生きるすべてのモテない男女へ。生きる勇気が湧いてくるハートフル対談、前編です。

女性の世界に存在する暗黙のルール

マンボウやしろ(以下、やしろ) 『ブサイク解放宣言』は能町さんの著書である『くすぶれ!モテない系』のパクリみたいになっているかもしれないんですけど(笑)。違いがあるのは、この本は完全に男目線であるという点。あと、基本、能町さんの「モテない系」で描かれている女性は見た目がブスということではない。男女の違いに加えて、そこも大きな違いなのかなと思ったんですが。

能町みね子(以下、能町) 女の人同士ではお互いの容姿に関する話って絶対に言っちゃいけない領域なんですよね。男同士なら「お前ブサイク」とは仲良ければ言えますけど、女の子はいくら仲が良くても「あんた、ブスじゃん!」とは言えない。

やしろ 女の人にとっては「ブス」って人間としてのタブーワードなんですね。

能町 そう、タブー。例えば、バラエティー番組でひな壇に芸人さんがたくさんいて、ゲストに女優さんが来たとする。そして、流れでひな壇にいた女芸人さんがまわりの男芸人に「ブスやな!」とイジられ始めた。そのとき、女優さんはどう反応すべきかって難しい。そこで一緒になってブスイジりに乗ってしまったらむちゃくちゃ印象が悪くなるし、かといって「ブスじゃないですよ!」と大反対するのも変な感じになる。それはそれで性格が悪そうに見えてしまうという落とし穴もあって、結局、ニコニコしてやり過ごすしかないんですよ。

やしろ 確かに女性のほうがブサイク・ブスについては難しく生きているのかもしれないですね。僕はこの本のなかで、ブサイクとブスは共同の国として書いているんです。「ブスブサイク連合国のみなさん」と呼びかけながら。でも、ブサイクって書くときは平気なんですけど、ブスって書くときは一回、手が重たくなる(笑)。ちょっとなんとなく罪悪感というか。

能町 分かります。それが正しい反応なんじゃないかと思いますよ。そもそも普通に生活をしていて、女同士で「どっちのほうがキレイか」「どっちが太ってるか瘦せてるか」などの見た目的なことを話すっていうのは相当なNGワード。さらに、誰がどう見ても太っている人がいる場合は、女子はその話題を口にしないし、結構しっかりとした暗黙のルールが存在するんです。

そもそもやしろはブサイクなのか?

能町 でも、そもそもなんですけど、私の周りにいる女の子に関して言えば、やしろさんや山里さん(南海キャンディーズ)などは「キモい」という反応にはならないと思うんです。例えば、やしろさんが誰かキレイな人と結婚したとしてもまったく違和感がない。おそらく、そう言っている女の人っていうのは、この本に書かれている日本酒を飲んでいる子だったり、東南アジアに行く子だったりなんでしょうけど。

やしろ そう言ってもらえるとありがたいです。でも、自分のなかでも本のなかに描いたようなブサイクエピソードがいろいろと積み重なって、本当にわけが分からなくなっていて。ただ、20代の頃はどうしてもモテたいっていう気持ちがあったけど、今はもう本当になくなった。それでスゴくラクになって。そうなってようやく女性にも普通にアプローチできるようになった。

能町 あ、なるほど。まさに文字通り“解放”されたんですね。

やしろ そうです。この本のなかでも書いている持論がありまして、世の中をものすご—くザックリ2つに分けるなら、東洋の哲学で生きる人と西洋の哲学で生きる人になる。ブランドが好きだったり、カクテルが好きなのは西洋側。ブサイクはどちらの哲学で生きるべきかといえば、つまりは東洋哲学だという教えを説いていて。その前提があるうえで、この本で人間を3タイプに分けているんです。それは、

①男に生まれて男として生きる人。
②女に生まれて女として生きる人。
③人間として生まれて人間として生きる人。

①×②の相性はいいんだけど、③のタイプは③同士でしか合わない。①×③とか、②×③はうまくいかないんですよ。それも分かってきたのが大きい。

能町 そうそう! ③のタイプは③同士でくっつけばいいんですよね! 私も③のタイプが好きなんです。でも、やしろさんは自分が③でありながら、かつて20 代の頃は②のタイプも狙っていこうと思ってたわけですか?

やしろ ……思ってました。20代のモテたいと思っていた頃は女性の見た目かわいさとかに惑わされたこともあり……。

能町 実際にそういう人と付き合えたこともあるんですか?

やしろ 付き合ったこともあったんですけど、むちゃくちゃ疲れましたね。例えば、仕事明けでグッタリしちゃってて、一緒に家にいるときに僕は寝ちゃったんですよ。そうしたらスゴい勢いで「もう私、帰っちゃうよ! いいの? 私、女の子なのに!」的な感じで「玄関まで送ってよ」と起こされた瞬間、別れようと思いました。

だって僕が逆の立場で、好きな人が仕事で疲れていたら寝かしてあげようと思うはずで、「あ、この人とは生き方が違う」と気づいた。やっぱり②×③の組み合わせだと合わなくなってくる。そのあたりをブサイクはしっかりと見抜いていないと、女の子選びで傷つくよって言いたいんです。

「海外どこ行きたい?」がリトマス試験紙

やしろ 相手が西洋哲学か東洋哲学か、そして①~③のどのタイプかってことを簡単に判断できるのが「海外どこ行きたい?」って質問で。それで「ハワイ・グアム・サイパン」って答える女からは逃げろと説いているんですけど(『ブサイク解放宣言』第2章参照)。

そもそもこっちは海外でどこへ行きたいかを聞いてるのに、「どこで遊びたいか」って変換されている時点でおかしい。ハワイもグアムもサイパンもアメリカですから、どこ行きたいと聞かれたら「アメリカ」と答えるべきなんですよ!

能町 ハワイって答える女の子については、ブサイクは諦めろっていうのはすごく分かる。ハワイって答える女は「南国リゾート行きたいだけ、水着になりたいだけ」って感じしますよね。③で生きてきた女の子って、まず水着になることを拒否しますから。水着なんてまずありえない。だから、水着を着る場所には行かないと思うので。

やしろ そんななか、インド行きたい、カンボジア行きたいという女の子がいたら、ブサイクは絶対にその子を大事にしないといけないと思いまして。

能町 なら、北欧はどうですか? 私はイケると思うんですよね。北欧って答える人は意外と絶妙な立ち位置で、結構かわいい人が多い。そのうえで、男性の守備範囲がめちゃくちゃ広いと思う。

やしろ それ、めちゃくちゃイイですね。ということは、裏を返せば女性は男性から「海外でどこに行きたい?」と聞かれたら「北欧」と答えておいたほうがいいってことですね。

能町 そこが難しいところで、北欧って答えて「よし!」と思ってくれる男が少ないと思います。

やしろ ふはは。確かにそうですよね。僕もいくつか国を挙げましたけど、北欧は完全に抜けてましたから。

能町 北欧は結構、狙い目だと思いますよ。ラフな格好で、ヒールは履いてないけどかわいい女の子のイメージですね。

冒険心があるかないかそこを見極めろ!

やしろ ブサイクが狙っていいかどうかのベースになるのは冒険心だと思うんですよね。「日本酒を飲んでいる子の隣に」の項でも書いたんですけど、日本酒に手を出す瞬間ってどこかで冒険心が必要で。その冒険心を持っている女の子じゃないとブサイクはなかなか厳しい。

能町 女の子は女の子でコンプレックスも強かったりしますから。別にスゴくキレイな人でもものすごいコンプレックスを持っていたりする。そういうコンプレックスを持っている子のほうが冒険しているイメージがありますね。

とくにコンプレックスがなく、見た目も中身も標準的に生きてきた子は逆に保守的というか、特別なところにあえて手を出さないイメージです。特別なことをする必要がないので。何かしらかのコンプレックスを抱えている女の子のほうがいろんなことに挑戦するし、ムチャもするし、いろんな男の人を好きになってみるんじゃないかなと。

やしろ へぇ~ ! 面白いですね。僕のなかで冒険心の源って結局は好奇心なのではないかと思ってたんですけど、コンプレックスという部分もあるんですね。スゴく人間的な話で面白い。

能町 うん、スゴい人間的ですよね(笑)。どうやったらコンプレックスを多少軽減できるかをいろいろ試している部分もあるんだと思います。

やしろ 男の場合は、自分のコンプレックスを反骨精神みたいな形でエネルギーに変えて、それを仕事という部分に全部吐き出して、そっちで成功を収める方々が大半だと思う。NON STYLEの井上もたぶんそっち側で「ブサイクだから勝っていかないといけない」という考え方。その井上の思考は西洋文化の資本主義、つまり勝ち負けありきの世界だなと思った。僕はそうではなくて、やはり東洋的な思想じゃないけど、この本では「勝ち負けはないよ」ということが言いたいんですよね。

(撮影︰中川有紀子)

後編「新説!ブサイクはジャニヲタ女子を狙え!」は、12月8日更新予定


能町みね子(のうまち・みねこ)
漫画家。北海道出身、茨城県育ち。 著書は『くすぶれ! モテない系』(ブックマン社)、『縁遠さん』(メディアファクトリー)、 『ときめかない日記』(幻冬舎)、『お家賃ですけど』(東京書籍)、 『ひとりごはんの背中』(講談社)、『お話はよく伺っております』(エンターブレイン) など多数。雑誌やネット媒体での連載も多くかかえる。


「ブサイクのプロ」だからこそ書けた、見た目コンプレックスからの脱却法!

この連載について

ブサイク解放宣言〜見た目にとらわれない生き方のススメ

マンボウやしろ

「ブサイク」という一点だけで、これまで辛酸を嘗めてきたマンボウやしろさん。恋愛市場でも不利な"ブサイク男子"は、どんな異性を狙えばいいのでしょうか? 「よしもとブサイクランキング」で3年連続1位を獲得し、殿堂入りを果たしたマンボ...もっと読む

関連記事

関連キーワード

コメント

kill_bill_omoro この記事すごく納得したんだけど、自分は③の人間として生まれて人間として生きるタイプの人間だと思うので、来年は③のような友だちができたら良いなと思う。 https://t.co/7k8i0HLfHu 1年以上前 replyretweetfavorite

umek3o コンプレックスを抱えている女の子の方がいろんなことに挑戦する。って何かわかる。自分に自信をつけるチャンスをいつも探している。https://t.co/padZm8Op2E 約2年前 replyretweetfavorite

tm120205mt インドに行きたい https://t.co/gYp6u4uPVg 2年以上前 replyretweetfavorite

uk_0819 これおもしろいな😂 https://t.co/bOnwOYcqxt 2年以上前 replyretweetfavorite