ゲームとアートの関係をどう考えますか?
Q. 「ビートマニア」では、譜面を攻略することを「解けた」と表現する人が結構いるんですね。「解けた」と言っても「ビーマニ」は難しすぎて満点は出ないので、つまり自分なりの文脈を打ち立てることで「読み取っている」ということだと思うんです。この感覚も梅ラボの作品と共通していて、結局個々の感性に基づいた文脈でしか解釈ができなくて、すべてを包括することが限りなく難しいというか。
梅沢:例えば絵画には、アートの文脈に沿って配置されたいくつかのコマを、鑑賞者が読み解いていくというところがあるんですね。一方で、例えば最近色んな種類が出てきている「音ゲー」の世界にも、新しいゲームを説明書を見ずにやり始めて、自分なりのスタイルで読み解いていく快楽がある。そういう意味では共通しているところがあるんですが、例えば「ビーマニ」だと、ひとつの画面の中にゲージやノーツ(落下してくるオブジェ)、グラフ、数字、イメージ映像、アバターなどが同時に表示されていて、プレイヤーはその五次元くらいの映像世界をすべて認識しているわけですよね。これは凄い情報処理能力だし、アートに置き換えた時に、こんなハイコンテクストな読み取りができるのは、ごく一部の人でしかないと思うんです。
梅ラボ「とある人類の超風景Ⅱ」
Q. 梅ラボの作品にしても、「カオス*ラウンジ」全体にしても、アートという文脈を持っていなくても、何かしら共通点が見つけられれば、身構えることがなくコミュニケーションが取れたり、プレイングを始められるという構造がある。これはまさにインターネットやゲーム的な感覚ですね。
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