九谷焼に衝撃を受け、「この皿がやばい」とプレゼンしてまわった|丸若裕俊(丸若屋 代表)〈前編〉

やりたいことを実現し、新しい働き方を自分でつくる。そんな少し変わったキャリアを切り開いてきたパイオニアにインタビューをするシリーズ。第9回となる今回のゲストは、丸若屋 代表の丸若裕俊さんです。丸若屋が請け負うのは、日本文化の再生。スポーツブランドと九谷焼の窯元によるコラボレーション商品を手がけたり、伝統工芸の技を活かしたオリジナル商品を制作したり、パリでギャラリーショップをオープンしたりと、幅広く活動しています。プロダクトプロデューサーやプロジェクトプランナーなど、さまざまな職業で呼ばれる丸若さんが思う、自分にぴったりの肩書とは。

何者か名乗りやすくするために「丸若屋」をつくった

—日本文化の魅力を再発見し、現代に合わせて再定義して発信してきた丸若さん。今、ご自身の肩書はなんだと思いますか?

 それが、定まっていないんですよね。インタビューを受けるときも、肩書は載る媒体にお任せしてしまうので、記事ごとにバラバラ。昔からカオスなものが好きだったんで、そんな状況もいいかなと思ってるんですけどね。

—カオスが好き、とは。

 整然としているものよりも、混沌としていてよくわからないものが好きなんです。

 僕は大学で理系の専攻だったのですが、与えられた方程式で解を求めるのが性に合わなかった。だからそれぞれの問題に対して、一から公式を作っていました。子どもの頃から、1+1=2と言われると、「なんでだろう」と考えてしまうタイプ。みんなでやる鬼ごっこなども、決められたルールだとおもしろくなくて、独自にカスタマイズしたくなっちゃうんですよね。そうしているうちに鬼ごっこなのかよくわからない、謎の遊びに変わっていく。そういう感じで、今やっている仕事もよくわからないんですよ。

—わかりやすく説明するなら、日本文化のプロデューサー、なのでしょうか。

 うーん……プロデュースしているときもありますが、ある意味、起業家といえば起業家でもある。自分の会社を立ち上げていますから。日々の仕事のなかでやっていることは、基本的には企画なんですよ。企てる、画策する。その企てるジャンルとして、日本の文化・伝統を中心として活動しているわけです。でも、「プランナー」としてしまうと、またニュアンスが違うんですよね。

 だから、「丸若屋」をつくったんです。「丸若屋 代表」と名乗れば、僕は丸若裕俊だから丸若屋ね、とわかってもらえるし、代表といったら何かしら中枢の仕事をしているんだろうな、となります(笑)。

—なるほど(笑)。しかも「丸若屋」には、和風の響きもありますよね。その丸若屋で、丸若さんは何をしているのでしょうか。

 古くから続いてきた日本文化の価値を再定義・再構築して、世の中に発信するという仕事をしています。例えば、伝統工芸の職人さんと新しいプロダクトをつくる。企業と作り手をつなぐ。それらのプロダクトを販売する場所をつくる。今取り組んでいるプロジェクトの一つが、古伊万里をベースにした磁器シリーズ。佐賀県にある伊万里港を望む高台にある窯元で焼いています。

 この器をデザインした猿山修さんは、古美術のプロでもあるんです。器の歴史を知っているので、単に視覚的にイケてるかどうかではデザインしていない。だから、形は16世紀の李氏朝鮮時代の器の要素を含んでいて、縁の立ち上がりなどはその時代の様式を反映しています。

—洗練されていて、現代的な印象を受けますね。

 400年間受け継がれてきた古物がすごい理由の一つは、手に渡った人がみんなそれを「壊しちゃいけない」と思って、丁寧に扱ってきたという事実。それって、普遍的に良いものである、ということなんです。だから、現代に生きる僕らが見ても、古くさく感じることはないんだと思います。

 これを手に持っていると、なんだか落ち着くんです。料理もおいしく見えるし、道具として成立している。そこが大事だと思っています。

九谷焼の美に圧倒され、理解されていないことに衝撃を受けた

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