仲田晃司
【
第11回 】本質を知る
生産者のところに行って試飲をして、そこで購入するワインを決めるのは無意味と言えるかもしれない・・・なぜならば同じワインでも、それを飲む環境次第では驚くほど味覚に違いが出るものだから。ワインの「本質」は「人」にあると断言する仲田さん。「本物」を作ることの奥深さにまつわるエピソードを語っていただきました。フランスはブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタン村でワイナリーを経営する日本人醸造家・仲田晃司さんの連載、第11回です。
こんにちは。
日本は、だんだんあたたかくなってきた頃でしょうか。
前回、フランスで会社を立ち上げた直後、売るものがなかった頃は、たくさんのワイン生産者さんのところに訪問させてもらっていたと書きました。
では、何のために、訪問をしていたのか。
普通ならば、生産者のところに行く目的は、たくさんの試飲をして、どのワインを買い付けるかを決めるためです。
でも私は、訪問時には試飲を重視していません。生産者のところを訪問する時に、とても大切にしていること。それは、試飲させてもらうことではありません。生産者と話をすることです。
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この連載について
仲田晃司
フランスはブルゴーニュのジュブレ・シャンベルタン村でワイナリーを経営する日本人醸造家・仲田晃司さんはじめての連載。仲田さんのワインのラベルには「天・地・人」という文字がきざまれています。2003年5月、在りし日のアンリ・ジャイエ翁より...もっと読む
著者プロフィール
大学生の時アルバイトをしていた上野のフレンチレストランでワインと出会い、将来は自分の手で美味しいワインをつくってみたいとの夢を抱く。1995年、渡仏。フランス各地のワイン生産者のもとで醸造を修行し、1999年、ボーヌの名門ワイン学校CEPPAで学位を取得。モメサン社他、ネゴシアン数社を経て2000年7月7日、メゾン・ルー・デュモンをニュイ・サン・ジョルジュに設立、醸造家としワイン生産に従事。2003年3月1日、メゾンをジュヴレ・シャンベルタンに移転すると同時に同社代表に就任。ルー・デュモンワインのラベルには漢字の「天・地・人」という文字がきざまれている。2003年5月、在りし日のアンリ・ジャイエ翁より「自分自身のアイデンティティをワインに表現せよ」との薫陶を受け、「日本人であるということ」「自然と人間に対する真摯な尊敬の念」の象徴として、「天・地・人」が生まれた。
ブログ:Maison Lou Dumont