朝晩、澄み渡ったパリの空気に、どこからともなく暖炉の木を燃やす匂いが混じるようになってきました。パリのアパートには暖炉が設置されていることが多く、いまだに火をくべて使っている人が普通にいるんです。
それほど冷え込むようになってきたパリで、先日テレビを見ていたところ、あるドキュメンタリー番組が、「Japon, le sexe et l'amour en crise」(日本、性と愛の危機)というタイトルで、日本のあらゆる性と愛の現状を取材し、放送していました。
その番組では、彼氏レンタルサービスや、ラブドールと暮らす単身赴任の男性、リアルな女性ではなく二次元の女性にしか興味を持てない青年など、フランス人からすると驚愕の性文化の数々を紹介していました。(詳しい内容は私のnoteで紹介しています。)
性産業のバラエティーとクオリティーは世界最高峰と言える日本。「愛」や「性」のあらゆるサービスが存在する一方で、こと生き方のバラエティーになると、とたんに少なくなってしまうように感じます。
愛にも色々な形があるし、生き方も他人に縛られない自分らしいものがあっていい。それをお伝えしているパリジャン十色では、前回に引き続き、パリジェンヌたちのインタビューをお送りします。
前回の20代と違って30代のパリジェンヌたちは、身近に結婚や出産をしている人が増えてくる年齢です。今年で36歳になった私も、自分の身体や周りの環境の変化にとまどいながらも、自分の人生について真剣に考えることが増えました。今回のインタビューは、個人的にも深く共感できるところがいくつもあったのです。
それでは、今回の主役であるパリジェンヌを紹介していこうと思います。
1人でいても幸せ、2人でいても幸せ
左:Laurene( ロレーヌ)さん、右:Elodie(エロディ)さん。ともに37歳、プレス関係。
オシャレなサングラスをかけ、秋の心地よい太陽に照らされながら、川べりでブランチしていたおふたり。彼女たちの背中からはなんとも言えない貫禄がにじみ出ていて、声をかける前から緊張してしまいました。勇気を振りしぼり、「結婚について話を聞きたい」と声をかけたところ、意外にもサングラス越しに2人の顔はすぐにほころびました。そして、「え〜、結婚かぁ。私たちに聞いてもあんまり参考にならないかもしれないわよ」なんて言いながらも、インタビューを受け入れてくれたのでした。
それではまず、率直にこの質問から。
—— 将来、結婚しなければいけないと感じますか?
ロレーヌ しなきゃいけないとは思わないけれど、するってことになれば「Why not?」。断る理由はないかなと思いますね。「結婚」というのは、パートナーと私の未来の先にある、2人でやってみる面白いことの1つという感じですかね。
エロディ 私にとって「結婚」と言えば、減税かな(笑)。
ロレーヌ そうね。結婚すると減税が受けられるから、それはいい制度かな。あと子供がいるなら、子供の苗字をどうするかって問題がでてくるから、結婚してた方が両親と同じ名前に統一できていいかもしれないですね。
—— どうしても結婚したいとは思わないんですか?
エロディ 思わないですね。だって、ロマンチックじゃないし。結婚という制度に縛られなくたって、愛につながれて一緒にいる方がロマンチックだと感じますね。
ロレーヌ あとは、周りの結婚している友人知人らを見ていて、みんながみんな 、幸せになるとは限らないという現実を知ってるしね。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。