高い的中率の伝統行事「子ども大統領選挙」
アメリカには、子どもによる大統領選挙がある。
教材と児童書の大手出版社スコラスティックが行っている「ScholasticStudentVote」というもので、1940年から続くアメリカの伝統的行事だ。幼稚園から高校生までが投票でき、票は郵便で送るという方法だ。実際の選挙は11月上旬に行われるが、子どもの選挙は10月に結果が出る。
これがなぜ大人にも注目されているかというと、実際の大統領選の結果を高い確率で予測してきたからだ。
1940年に始まって以来、間違ったことは2回しかない。
1948年と60年だ。1948年の選挙では子どもたちは共和党のデューイーを選んだが、結果はハリー・トルーマンの勝利だった。1960年には子どもたちはリチャード・ニクソンを選んだが実際に勝ったのはジョン・F・ケネディだった。どちらも史上まれにみる「番狂わせ」といわれた選挙だった。
だが、1964年の選挙からはずっと正しく結果を予測してきたのだ。世論調査が非常に接近していた2012年のオバマ大統領(民主党)対ミット・ロムニー元マサチューセッツ知事(共和党)の選挙では、オバマ51%、ロムニー45%で、オバマの勝利を正しく予測した。勝敗を決める激戦州のオハイオ州とフロリダ州の結果まで一致していたのは目覚ましい。
なぜこれほど当たるのかというと、親の意見を反映しているからだろう。
家庭で大人たちが選挙や候補について語るのを、子どもたちは耳にしている。
「●●は嘘つきだ」「●●は信用できない」といった批判や、「●●は医療制度を変えてくれる」といったポジティブなものを、しっかり取り入れているのだ。
また、投票をするために子どもたちが親に大統領選について質問をするのも、親の意見を反映するきっかけになっている。「オバマってどんな人?」、「ミット・ロムニーっていい人なの?」と子どもに尋ねられたら、興味がない親でも調べて答える必要が出てくる。子どもが投票するのに親がしないわけにはいかない。そこで、子どもの票と親の票が一致するようになるのだ。
今年の子ども大統領選の結果は
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