ヒットチャートの崩壊が生み出す「懐メロの空白」

10年代の音楽マーケットに即した複合チャートを打ち出しているビルボード。チャート・ディレクターは「共感性の高いチャート」を作ることを目指しているという。なぜその必要性があるのか?
音楽ジャーナリスト・柴那典さんがその実情と未来への指針を解き明かす新刊『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)。本日発売の本書から特別公開します。

1位の曲を思い出せるか

 こうしてビルボードは10年代の音楽マーケットに即した新しい形のヒットチャートを打ち出している。開始当初は知名度も低かったが、地上波テレビ各局での露出も増え、共同通信社がそのランキングを報じるようになるなど、徐々に認知も広がっている。

 その理由の一端には、オリコンランキングに対する人々の認識の変化がある。CDの売り上げ枚数を上から並べたオリコンのランキング上位の曲と、人々の実感値としての「流行っている曲」が乖離しているのが感じ取れるからだろう。ビルボード・ジャパン、チャート・ディレクターの礒崎誠二はこう語る。

 「いろいろな人にオリコンさんのランキングを見せて『どのあたりから曲を思い出せなくなりますか?』と訊いたことがあるんです。そうすると、世代にかかわらず、00年代の後半あたりから上位の曲が思い出せなくなっていくんです」

 実際のところはどうだろうか。次に示すのは、1995年から2015年にかけて、20年間のオリコン年間シングルランキング1位曲を並べたリストだ。

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ヒットの崩壊

柴那典

「心のベストテン」でもおなじみ音楽ジャーナリスト・柴那典さん。新刊『ヒットの崩壊』では、アーティスト、プロデューサー、ヒットチャート、レーベル、プロダクション、テレビ、カラオケ……あらゆる角度から「激変する音楽業界」と「新しいヒットの...もっと読む

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コメント

ane_channel めもんぬ。自分では、チャート全体を好んで追っていたのが01年まで、自分の好きなものをつまみ食いするようになったのが02年以降という感覚アリ: 1年以上前 replyretweetfavorite

kiatsu0120 いいとか悪いとかでなく 確かにある時からタイトルを見てもわからない… 1年以上前 replyretweetfavorite

c_5_r 大変興味深いです。 1年以上前 replyretweetfavorite

consaba ビルボード・ジャパン礒崎誠二「世代にかかわらず、00年代の後半あたりから上位の曲が思い出せなくなっていく」「懐メロの空白」 |柴那典『 1年以上前 replyretweetfavorite