規則正しいテンポで男が、ユウカの前に現れては消えていく。
運営側の合図とともに話が始まり、合図とともに話を終える。
とても、そんな要領よくいかないだろうと最初は思っていたが、人間はどんな状況にも馴れるものだ。
2、3人と話し終えると、誰もがこの窮屈なルールを苦とも思わずこなしていった。
1周目が終わると、いよいよ最終チェックの2回目が始まる。
ここまでの様子を簡単に説明すると、この婚活パーティーでは相手の男性陣を効率よくチェックするために、1人3分のフリートークを2回するシステムになっている。女性は半個室で固定され、男だけが回転寿しのネタのようにくるくるスペースからスペースに移動する。
ちなみに、この婚活パーティーのウリは、「フリータイムなし」だ。
パーテーションを取っ払ってフリータイムを作ってもいいのだろうが、誰と話したらいいかわからないし、どこに行けばいいかわからない。今どきの男の人は、自分から声をかけにいかなかったり、女の人は誰かに声をかけられるのをずっと待っていたり、フリータイムなのにうまく活用ができないことが多いのだそうだ。それで、こういうスタイルが一番人気があるらしい。
そりゃ初対面同士だし、これまで長い長いフリータイムも活用できなかったんだからとユウカは妙に納得した。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。