オリコンランキングは二重の意味で「ハッキング」された

オリコンの権威の源泉は、正確な売り上げ枚数の推定により信頼性あるチャートを作ってきたことにあります。ではなぜ、ここまでの社会的な影響力を持つようになったのでしょうか?
音楽ジャーナリスト・柴那典さんがその実情と未来への指針を解き明かす新刊『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)。11月15日の発売に先駆け、その内容を特別先行掲載します(平日毎日更新)。

「人間の対決」が注目を集める

 オリコンというのは、創業時の社名でもあった「オリジナルコンフィデンス」の略称。
 コンフィデンスというのは、すなわち「信頼」という意味だ。正確な売り上げ枚数の推定により信頼性あるチャートを作ってきたことが、オリコンの権威の源泉となった。

 では、なぜレコードの売り上げ枚数のランキングが話題を呼び、社会的な影響力を持つようになったのか?

 「シングルランキングはレコードの売り上げ枚数のランキングだから、一見すると『モノのランキング』に見えますよね。でも、実はこれって、『人間のランキング』なんですよ」

 垂石はこう指摘する。

 「やっぱり『人間のランキング』が一番興味を持たれるんです。たとえば、うちでも書籍のランキングをやっていますが、やっぱり音楽に比べるとなかなか話題にならない。それはあまり人間のランキングとして見られていないからです。

 それに比べると、レコードやCDのランキングはそれを歌っている人の人気を並べたランキングになる。だからこそ、ランキングで1位になることに大きな意味がある。それに、発売日が重なると熾烈な戦いになりますよね。

 たとえば80年代の松田聖子と中森明菜がそうだった。00年代の宇多田ヒカルと浜崎あゆみもそう。それらのランキングが注目を集めたのも、それが『人間の対決』だからなんですよね」

 モノの売り上げの数値を並べることが、そのままスターの人気の指標になる。そのことは、オリコンの創業者である小池聰行が最初に持っていた発想でもあった。

 小池聰行は同志社大学在学中に、あるきっかけで人気のメカニズムに興味を持つ。

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ヒットの崩壊

柴那典

「心のベストテン」でもおなじみ音楽ジャーナリスト・柴那典さん。新刊『ヒットの崩壊』では、アーティスト、プロデューサー、ヒットチャート、レーベル、プロダクション、テレビ、カラオケ……あらゆる角度から「激変する音楽業界」と「新しいヒットの...もっと読む

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コメント

k_sato_oo 「AKB48のみが『人間の対決』という仕組みをそのプラットフォームの中に内在している」「シングルランキングは実は『人間のランキング』なんですよ」 約1年前 replyretweetfavorite

consaba 垂石克哉「シングルランキングはレコードの売り上げ枚数のランキングだから、一見すると『モノのランキング』に見えますよね。でも、実はこれって、『人間のランキング』なんですよ」ハッキングされた #ss954 1年以上前 replyretweetfavorite

natukusa "モノの売り上げの数値を並べることが、そのままスターの人気の指標になる。" 1年以上前 replyretweetfavorite

musevanreyback 「実はこれって、『人間のランキング』なんですよ…一見すると『モノのランキング』に見えますよね。でも、実はこれって、『人間のランキング』…」 2年弱前 replyretweetfavorite