いきものがかりは「興味が細分化した時代」をどう乗り越えたのか

「ヒットの方程式」が成立しなくなった10年代。「音楽が社会に影響を与える」ことに強いこだわりを持ついきものがかり・水野良樹さんは「興味が細分化した時代」をどう乗り越えようとしているのでしょうか?
音楽ジャーナリスト・柴那典さんがその実情と未来への指針を解き明かす新刊『ヒットの崩壊』(講談社現代新書)。11月15日の発売に先駆け、その内容を特別先行掲載します(平日毎日更新)。

バラバラになった時代を超えるために

 いきものがかりのシングル曲は多くのタイアップを獲得してきた。
 そのことは、自分たちの作った曲を広く届けるために大きな効果を発揮した、と水野良樹は語る。

 「ただ単に、僕が曲を作って、それをレコーディングしてホームページで公開したとしても、それを聴いてくれる人は果たしてどれだけいるだろうか? って思うんです。ライブだって同じですよね。会場まで足を運んでくれた人じゃないと曲を聴いてくれない。

 僕は社会に影響を与えるということに憧れて音楽をやっているので、やっぱり曲の出口を得なきゃいけないということはすごく思っているんです。そういう意味でタイアップが重要であることは確かです」

 自分たちのファンやその周囲に届けることを目的にするならば、ネットで音源を公開し、ライブに足を運んでもらうことだけを考えることで事足りるかもしれない。
 しかし、自分たちに興味のない人にまで伝えるためには、やはりタイアップは今も強い力を持っているという。かつてのような「ヒットの方程式」は成り立たなくなっているが、それでもCMやドラマ主題歌やアニメの主題歌は曲が広まっていくための大きなきっかけになっている。

 メディアを通して繰り返し耳にすることで、自然とその曲を覚えてしまう。小室哲哉は「刷り込み」という言葉でそのことを表現したが、水野は「曲の出口」という言葉でそれを言い表す。

 では、なぜ彼は「音楽が社会に影響を与える」ことに強いこだわりを持っているのか。

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ヒットの崩壊

柴那典

「心のベストテン」でもおなじみ音楽ジャーナリスト・柴那典さん。新刊『ヒットの崩壊』では、アーティスト、プロデューサー、ヒットチャート、レーベル、プロダクション、テレビ、カラオケ……あらゆる角度から「激変する音楽業界」と「新しいヒットの...もっと読む

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コメント

hiro88x |ヒットの崩壊|柴那典|cakes(ケイクス) https://t.co/4zTMToZUQg 2年弱前 replyretweetfavorite

cocokokoko 「そういうことを知ると、自分たちの曲が社会に根付いたな、影響を与えているなということを実感できる。それはすごく嬉しいことなんですね」 2年弱前 replyretweetfavorite

SLGjpn [あとで読む] 2年弱前 replyretweetfavorite