自分にぴったりの仕事なんて存在しない!天職病【前編】

前回、想い人の河合さんが、彼氏らしき人物と歩いているのを見てしまった陽太。ずんずん先生と一緒にあとをつけると、その男性が河合さんに「仕事をやめて家庭に入ってほしい」と頼んでいるのが聞こえてきました。なんだか河合さんもまんざらでもない様子に見えて……? グローバル企業の実態をおかしく描いた『外資系はつらいよ』で人気のずんずんさんの連載です。

ここは東京、西新宿。

僕の名前は出来内陽太(デキナイヨウタ)、ドブ板メディカル株式会社という医療器具メーカーに勤めている、どこにでもいる三年目営業だ。

そう、僕は人と比べてちょっと仕事ができないだけで、それ以外は笑顔の可愛いどこにでもいる営業社員……。

そんな、僕は今、会社のちょっと気になる同僚、河合さんのあとをつけています。

陽太「こ、これは決して、ストーキング行為などではなく、純然な好奇心といいましょうか、なんというか……」

ずんずん先生「よう、ストーカー」

陽太「ぎゃう!」

ポンと肩に手を置かれ、陽太は飛び上がりました。

陽太「ずんずん先生!? なんでここに!?」

振り返れば、そこには会社のメンヘラ産業医のずんずん先生がいました。

ずんずん先生は社会人だけがかかるという謎の奇病・社会人病を専門とするメンヘラ産業医で、なぜかドブ板メディカルに常駐していました。

ずんずん先生「いや、会社出たら、河合さんのあとをつけてるモテないサエないサラリーマンの姿が見えたから誰かなぁって思って」

陽太「モテないサエないは余計です!」

ずんずん先生「それでどうしたの? 河合さんのあとなんてつけて。もう自分の中の衝動が抑えられないの? 相談のるよ?」

ずんずん先生は陽太を哀れみに満ちた目で見つめました。

陽太「ち、違います! み、見てください!」

陽太は、先に歩いている河合さんを指さしました。

河合さんの横には、見たこともない長身のイケメンが並んで歩いています。

ずんずん先生の目が鋭く光りました。

ずんずん先生「近年まれに見るスラリとした長身の美形、あれは相当内転筋を鍛えてるわね」

陽太「内転筋? え、どこの筋肉ですかそれは。ともかく、あれが噂の河合さんの彼氏だと思うんですよね」

ずんずん先生「河合さんにも彼氏ぐらいいるでしょうね。許せない」

陽太「ずんずん先生、何かが漏れてますよ。気になりませんか? 北極点を思わせるスーパークールな河合さんの彼氏がどんな男か」

ずんずん先生「……え、気になるって言われれば気になるけど。それはやっぱ人のプライベートには踏み込んじゃいけないっていうか、あ、あの二人、定食屋に入ったね。う、う~ん。これから晩ごはんかな? やー……そう言えば私もごはん、まだだったな」

陽太「奇遇ですね。僕もです」

ずんずん先生「じゃあ仕方ないわね」

陽太「仕方ないですよ」

何が仕方ないのか、そう言って二人は、河合さんとその彼氏と思しき人物が入っていった定食屋・大桃屋に、あとを追うように入っていったのでした……。

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ずんずん

自分の会社に不満を抱えている青年、出来内陽太(デキナイ・ヨウタ)。「こんな会社もうやめたい」と日々愚痴っている陽太の前に現れたのは、「産業メンヘラ医」を名乗る謎の女で……!? グローバル企業の実態をおかしく描いた『外資系はつらいよ』で...もっと読む

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zunzun428 今回は河合さんの彼氏の正体がわかるようなわからないような..! よろしくお願いします〜! https://t.co/7qgHCJIWmy 約3年前 replyretweetfavorite