婚活パーティーに来たユウカは、徐々に緊張が高まっていくのを感じていた。
ここに来た女の人はどんな人が多いのだろう、と思ったがパーテーションで区切られたスペースのため、他の参加者の女性の姿はまだ見てない。
そして、いま目の前には、男がひとり。先ほど到着した男性は会釈して挨拶をしただけで何も話しかけてこなかった。ユウカが緊張してるのを見計らって、何か声をかけてもよさそうなのに……。
ただ、その男の風貌を見て、仕方がないか、とも思った。慣れなそうなスーツを着て、背負っていたリュックを床に置く仕草から、今までモテてこなかった男に違いない、そう思った。ここで、いつものようなジェントルマンを期待するのは場違いなのかもしれない。
ユウカがテーブルに目を移すとプロフィールカードの他にも3枚の紙があった。 手に取ろうとしたその時、突然アナウンスが聞こえた。
「皆さま、お待たせいたしました。まだご到着されていない方もいらっしゃいますが、定刻となりましたので、開始させていただきます。
まずお手元のプロフィールカードは、スタートしましたらお相手と交換してお話を開始されてください。
会は2部構成です。まずは全員の方と3分ずつお話をしていただきます。ただし、誠に申し訳ございません。本日、1名の男性欠席者がおられます。女性は1回、休憩タイムとなりますので、あらかじめご了承ください」
(やっぱり女性の方が1名多いんだ……)
「1周したら、テーブルに置いてある第一印象カードに記入いただきます。こちらは、もう少しお話をしてみたいな、と思われた方、すべての方に丸をしてください。そんなに気負わず、ちょっといいな、と思った方には丸をしてくださいね。ルールとしては、最低1人には丸をつけてください。その後、2周目に入ります。さきほど話しきれなかったことをお話されたり、別のお話をされたり…2周目も3分ですが、今度は落ち着いてお話ができると思います」
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。