見た目は同じブスにも関わらず、原価がゼロの「プラマイブス」もいれば、大幅な「赤字ブス」もいる
「金のかかったブス」。別に、ダイヤモンド製のブス像というわけではない。
例えば、一人のブスがいたとする。いない方が、本人含めてみんな幸せだが、残念ながらいたとする。そのブスは、自分の容姿に金も労力もかけなかったからブスなのかもしれないが、世の中には「金と労力をかけた結果ブス」という、NASAの発射失敗したロケットみたいなブスもいる。
見た目は同じブスにも関わらず、原価がゼロの「プラマイブス」もいれば、大幅な「赤字ブス」もいるのである。
もう数年前のことになるが、拙作『アンモラル・カスタマイズZ』の販促として、「#金のかかったブス」というハッシュタグで、自身の大失敗自己投資エピソードをツイッターで募った。今思えば、本を売るために色々やっていたのだな、と思うが、それでも売れないのだから、私の本はすごい。
本は売れなかったが、この「#金のかかったブス」は割とウケた。今でもググればまとめが出てくるし、40万PVを越えている。本もこのぐらい売れていれば、富を得て、今ここでブスについての考察で糊口をしのぐという栄誉ある仕事に就くことができなかっただろう。本が売れなくてよかったと心の底から思う。
とにかく、自己投資失敗エピソードが、山ほど集まったのだ。
思った以上に、みんなやらかしているのである。最初から諦めていて、自分に金を使ったことはない、というブスの方が少数派なのだ。これからは、そこらへんにいるブスでも「これは投資されたブスかもしれない」と一目置いてみるべきだとさえ思った。
しかし、同じ金を捨てるにしても、みな捨て方に個性がある。一直線に、金をドブにシュートする者もいれば、ジグザグドリブルやフェイクを交えながらの者もいる。
結果的には、みんな手をつないで、ブスという名のゴールテープを切っているのだが、そこまでの道のりが違うのだ。
「自分は特別な存在なのです」とヴェルタースオリジナルブスと化す
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