何かの表現を人が新しく試みようと考えた時、成功に必要なことが明確に三つだけあると思うのだ。
才能と運と継続である。
これは、表現者のはしくれたる僕の40代現在の結論だ。
最初の二つは個人差であり、もうどうしようもない。となれば、2/3の要素の欠けたものに残された可能性は継続のみということになる。継続だけを命綱に、しつこく食らいついていれば、ではどうなることか? もちろん一流になんかはなれない。二流とまでも言えるかどうか。でも、“なんちゃって”、と呼べる程度の、中の下、下の上、くらいにはなれると思うのだ。それはなんとも哀しく、むなしく、むごい現実だが…そういうもんでしょ?
誰に対しての「そういうもんでしょ?」なのかまたまた不明だが。そういうものである。
2013年の2月、47歳の誕生日を目前に控えた僕は、単独弾き語りライブを行い、約20曲をギターを用いて弾き語った。ではすっかりギタリストになることができたのかと言えば、いやいやこれ全然、それこそ“なんちゃって”ギタリストだったのである。単純なコードストロークとプリミティブなアルペジオがやっとの”なんちゃって”弾き語りであった。
でも、そこがギターという楽器の特性であり良いところとも言えるかもしれない。練習の方法さえ押さえれば、誰でもギターは“なんちゃって弾き語り”くらいはさせてくれるのだ。
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