■いよいよ『ゼーガペインADP』公開
TVシリーズ『ゼーガペイン』が放映されたのが2006年。そのころヴァーチャルリアリティも人工知能もまだまだ研究段階です。どのように発展するかは誰にもわかりませんでした。
そんな中『ゼーガペイン』では、主人公たちが日常的にヘッドマウントディスプレイをかけてVRゲームに興じていたのです。その十年後、VR元年とも言われる2016年の今まさに実現している事態を予言する先見性が『ゼーガペイン』の大きな魅力です。日下部匡俊さんによるSF考証は緻密で、何年たっても新しい見方ができます。
©サンライズ・プロジェクトゼーガ
そして『ゼーガペインADP』でも、2016年からさらに先を予見するために、様々な知見を取り入れています。AR(拡張現実)技術はその一例。ARはVRと並行して今後ますます実現していくに違いないもので、『ADP』ではたとえば冒頭でキョウが使う通信端末のホログラム表示にも様々な情報を入れています。日常的な道具として生活に溶け込んでいますが、そういうところにもぼくのSF考証や内古閑さん山田さんによるデザインが入っているのです。
■試写会に!
いよいよ上映という少し前、関係者試写会が行われました。場所は新宿ピカデリー! 映画館の多い新宿でも有数の大きなシネマコンプレックスです。ここは10月15日から二週間、『ゼーガペインADP』がイベント上映される映画館でもあります。上映情報はこちら!
写真:著者撮影
スタッフやマスコミ各社が集まるなか、いよいよ上映開始です。ぼくはSF考証としてコンテやシナリオの段階から知っていますし、部分的には映像も見て、アフレコ現場も取材しましたが、完成した作品を通してみるのはこの日が初めて。
詳細には触れませんが、TVシリーズ『ゼーガペイン』を見た人は必ず驚く作品になっていることは間違いありません。シナリオの構成を聞いたときにも驚きましたが、実際に見ると、『ゼーガ』らしい予想を裏切る驚きがそのまま美しく映像になっているのでした。
そして今作はTVシリーズを見ていない人でも十二分に楽しめる作品になっています。『ADP』を見てからTVシリーズを見るという素敵な体験は、既にTVを見ていたぼくには不可能なので、とてもうらやましく思います。本連載を見て興味を持たれた方はぜひ劇場へ!
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