これはメンヘラ史上最高のスピクタクルファンタジー。
わたしが買ってしまった20万円の水晶は、手のひらサイズの透明な球体だった。だけどあのとき占い師は、それを床に4つ、四角形にならべ、その真ん中にわたしを立たせこう言った。「ほら、感じるでしょ?」と。
わたしは「感じるって、何をですか?」とは聞けず、くりかえし「たしかに……」と答え続けていた。まるで、“まったくなにも感じていないわたし”なんてこの世に存在していないかのように!現実をすべて、無視しながら!
前回、「ガチスピと思われたくない問題」など率直にお伝えしましたが、とはいえ、わたしはスピの敵ではないのです。それでは、わたしが水晶を買い封印するまでのスピ物語、はじまりはじまり〜。
わたしはスピとともに育ちました。どちらかというと味方です。
幼い頃から、スピは身近だった。
なぜ身近だったかというと母が、気の流れや波動などを大切にするタイプで、チャクラだとか地球の波動だとかの本が並んでいたし、「部屋を散らかすと気の流れが悪くなるよ」などという言葉は日常的に使われていたから。
さらに、わたしにとってスピは恐ろしいものでもあった。
旅行先のお土産屋さんで石やクリスタルがならんでいるのを見ると、母が毎回「石はこわいよ、力が強いから。とくに水晶は」と本気のノリで言っていたから。
だからわたしのなかでスピは、いつでも“あなどってはいけない存在”であり、軽い気持ちで取り入れることも、ましてバカにすることもできなかった。さらに幼ながら「スピな話をオープンにしたら引かれる」というスピの腫れ物的な空気もバッチリ感じ取っていたので(神童)、絶妙な距離を保ち生きていた。
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