それでも僕は、外科医をやめない

こじらせ男子の「結コジ式」が感動的だった話

木枯らしに吹かれて空を見上げれば秋の空。遠くに過ぎ去ったあれこれを想う季節。今回は、雨月氏から届いた久しぶりのこじらせ通信です。独身の身で結婚式に参加した雨月氏は、旧友のハレの舞台で何を感じたのでしょうか。

こんにちは、外科医の雨月メッツェンバウム次郎です。

近頃は夜にもなると、東京の街は少しずつ冷気に覆われてくるようになりました。昔から思っていたのですが、どういうわけか呑みに行く街によって「温度」というものは違っていて、銀座の街はつんと冷えますし、六本木はあまり温度を感じず、隣の麻布はむしろ暖かに感じます。そんないろんな街に出かけると、晩秋の頃合いというのは独特な食材が多いので、私は和食屋に決まって毎年入り浸っています。

さて先日、旧い友人の結婚式に参列したときのこと。内科医でもある新郎の友人は、なかなか30歳代中盤まで独身をこじらせた男です。何年かシェアハウスに住んでいて、それも最近流行りのオシャレで共用部分にビリヤードやハンモックがあるようなシェアハウスではなく、半分くらいは外国人だったりキッチンではなく台所があったりとかなりガチのシェアハウスです。

前夜に海外から一時帰国していた別の友人と遅くまでこじらせていた私は、二日酔いでぼんやりとヴェールのかかったような頭に熱いシャワーをかけ、目を醒まし慣れぬスーツを着るとタクシーに乗り込みます。

「東京タワーまで」

運転手さんは「かしこまりました」と丁寧。フロントガラスの左下に貼ってある青と黄でデザインされた「優良」のマークが目に入りました。ああ、このシールってたしか事業者ごとに渡されるもので、運転手さん個人とは関係ないんだよな、なんて思い出しながらまだ新しい黒革のシートに身を沈ませます。それにしても丁寧な運転。会社が優良だと運転手さんも優良である確率は高いのだろう……などと考えていると、車はいつの間にか結婚式場の執り行なわれるホテルに滑り込みました。

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それでも僕は、外科医をやめない

雨月メッツェンバウム次郎

高学歴エリート集団だと思われがちな外科医の世界は、実は、毎日人を切り刻んでる特殊な世界です。現役医師が語る外科医の世界は、とっても不思議な世界。毎日、さまざまな患者さんと接し、手術をするなかで感じたことを、ありのままに語ります。not...もっと読む

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コメント

nanamurananako 「ですから見た目で職業を当てるのは、医者からすればそれほど難しくはありません。 」こういう話もっと聞きたい/https://t.co/KKlRXDUerA 約3年前 replyretweetfavorite

ugetsujiro 今日のcakesは結コジ式に参列したときのお話を。なぜ私は感涙したのか。 約3年前 replyretweetfavorite