菅沙絵
美人はストレス。みんな勝手に期待して勝手に失望していく
六甲山の麓にある豪邸でお世話になることになった百鳥ユウカさん(34)。豪邸の主は、澤絵竜平(80)とアキ(38)の年の差夫婦。老人が先に寝静まった後、2人の美女による秋の夜長。アキはユウカの乳房を触りながら、自らの半生を語る。やがて、百鳥ユウカさんの結婚観は激しく揺さぶられる。誰もがうらやむ美貌を持った澤絵アキの半生は、ユウカさんにどんな変化を与えるのでしょうか?
「私はね、大阪で水商売やってたの……もともと、高校卒業して大阪に出て来て、夜の世界にすぐに入ったの。30歳までは北新地でホステスして。北新地って知らないかもしれないけど大人の街よ」
ユウカは東京で喩えると 「銀座」かなと頭の中で思ったが、この答え合わせの無意味さに気づいてすぐやめた。
「20歳からはずっと店のナンバーワンだったわ。28歳の時に、お金出してクラブ出させてくれるって言うタニマチもいたんだけど、私断ったの。誰かのヒモ付きになるなんて嫌だった。だから、私、お金貯めて30歳の時に自分の店を出したの」
ユウカの20代は、アキに比べれば毎日遊んでるような日々だった。のほほんとOLをやって、世の中がすこし見えたような気持ちになって、いい気持ちになってカラオケでpuffyを歌っていたのと同じ頃、アキは大阪で背筋がキリキリする人生を歩んでた。ユウカはそれを思うと、さっきから自分の身体に絡み付くアキの手も無碍に払いのけられなかった。
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この連載について
菅沙絵
友人たちが彼女につけたあだ名は「レジェンド・ユウカ」。結婚市場に残された最後の掘り出し物という意味だと説明されたが、たぶん揶揄する意味もある。妥協を知らない彼女が最後にどんな男と結婚をするのか、既婚の友人たちは全員興味深げにユウカさん...もっと読む
著者プロフィール
神奈川県座間市出身。実践女子短期大学卒業後、20歳で大手メーカーへ一般職として就職。20代の頃より小説の投稿を続け、3年前より本サイト「cakes」にて連載を始める。その後、自身初の書籍化。
現在は、自分に正直に生きているだけなのに結婚できないOL百鳥ユウカを主人公にした小説「結婚できない2.0〜百鳥ユウカの婚活日記〜」をcakesにて連載中。