成果を出すための工夫をしないヤツはスルー
私にはビジネスやプライベートで、多くの仲間がいる。家族と同じぐらい信頼している仲間もいる。でもウシジマのように、いざというとき身を挺してまで仲間を救うかどうかと聞かれれば、答えに窮する。正直なところ相手と状況による。
弄んだ女の彼氏にボコボコにされた遊び人に対して、ウシジマは「敵を作れないのは善人ぶって自分に嘘を付く弱い人間だ。自分の本心に向き合っている分マシだ」と言い放つ。人間関係の真理を説く印象的なシーンだ。(『闇金ウシジマくん』トレンディーくん編は20巻、21巻)
ウシジマのように、命にかかるような状況になることは想定できないが、仲間がピンチのときは一応、無視はしない。ドライなように見られがちだが、私を知る人たちは私のことを「面倒見がいい」と言ってくる。たしかに金銭面でも人脈面でも、勝手に向こうがものすごく助かって、ありがたがってくれるパターンは少なくない。
しかし、「仲間だから」という理由だけで、無条件に他人を助けた記憶は、ほとんどない。困っている仲間がいたら、私にできることで最低限のサポートはしてあげるけど、別に見返りは求めないし、後はご自由にどうぞというスタンスだ。
はっきりと無視する、スルーを決めている例もある。
10年以上前のことだ。中央競馬の馬主の繋がりで、工務店経営の男性と知り合いになった。彼が主宰する馬主クラブをつくりたいというので、協力したこともある。知り合いの仲はしばらく続いていたが、ライブドア事件の前後で、ぷっつり関係は途切れてしまった。それから音信不通が何年か続いた。
つい最近、急に彼の方から連絡があった。病気で仕事ができず、事業が傾いて苦しい、助けてくれという。でもよくよく話を聞いてみると、病気というより、彼自身のまずい経営が困窮の原因のようだった。
そういうのは、スルーさせてもらう。単純に「面倒くせっ」と思うからだ。
また、数年前に仕事で若い舞台役者と知り合った。自分たちで劇団を立ち上げるので、最初の公演を私に支援してほしいという。資金面や運営など、いろいろと手伝ってあげた。でも公演は、約100万円の赤字が出てしまった。そのカネはいまだに回収できていない。
100万円ぐらいのカネをきちんと回収できないようじゃ、ビジネスとしてはダメだよね? と指摘したのだが、役者の彼はピンときてなかった。まあ、しょうがないか……と思っていたら。また次の公演をやりたいと、再び支援を頼んできた。
今回は、完全にスルーした。100万円を回収できない実力で公演を続けても、先はない。役者の彼が全体を仕切っている限り、次はきっと100万円以上の赤字が出る。そういうだらしないビジネスを手助けする温情は持っていない。
自分で工夫や努力をしなかったり、出すべき成果を出せていなかったりするヤツの「助けてください」は無視する。たとえ昔の馴染みの人が相手でも同様だ。 顔見知りでも、切るときはあっさりと切らなければいけない。
羽振りのいいときは調子良くて、景気が悪いと途端にすがってくるようなヤツは大嫌いだ。もしくは、できないと決めつけて、何の工夫もしないヤツが大嫌いなのだ。
仮に、本当に能力が低くても構わない。でも、その能力で最大限できること、最低限の利益を自分にも周りにも還元できる工夫をしている人を、私は評価したい。長年、私の周りで成功し続けている知り合いは、そういう人たちばかりだ。
仲間を無条件に救う『ワンピース』の価値観は危ない
私は『ワンピース』の価値観が理解できない。主人公のルフィが海賊王を目指すストーリーは、よくできている。だが仲間との共闘、一体感が何よりの宝物だという価値観は、まったく受け入れられない。
cakesは定額読み放題のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。cakesには他にも以下のような記事があります。