大事な友達が性暴力被害に遭っていたので

インターネットで「痴漢」と検索すると、アダルトサイトばかりがヒットしてしまいます。一方フランスでは「痴漢」に相当する単語は存在せず、性暴力と呼んでいるそうです。先日、長年の友達が過去に性暴力被害に遭っていたことを知った牧村さん。加害者への怒りを感じた牧村さんがとった行動とは?

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長年の友達が実は、過去に性暴力被害に遭っていたことを知った。

どういう流れでその話になったのか、怒りで記憶が吹っ飛んでしまった。被害の詳細は書かないけれども、彼女が受けたのは、日本語で「痴漢」と呼ばれる性暴力である。

被害について語る彼女は、「そういえばこんなことがあったんだよね~」くらいのノリであった。悲しみも、恐怖もにじませることなく、例えるなら「子どもの時に一輪車でコケて泣いた」みたいな、完全に過去として消化しきった話し方を彼女はしていた。だから私は調子を合わせようとした。

けれどもやっぱりどうしても、私はそのクソ野郎をタコ殴りにする想像をしなければ気持ちがおさまらなかった。想像の中で私は、あおむけに寝かせたそいつの腹の上を、エグいスパイクのついた靴でぴょんぴょん飛び跳ねながら歌った。

実際には無理だろう。いかに性暴力加害者とはいえ、タコ殴りにしたならこの法治国家日本では処罰されるのだと思う。それに私はエグいスパイクのついた靴なんか持ってないし買う気もないし、そもそも私の肉体と精神では成人男性一人をタコ殴りにすることなんて基本的に無理だ。無理なんだけれども—だからこそ私は、想像の世界でそいつの腹の上をぴょんぴょんしなければ私を守れなかったのだろうと思うのだ。実際にタコ殴りする力を、私という人間が持たないからこそ。また、そいつをタコ殴りにしたからといって、根本的な痛みが癒えることはないと私が知っているからこそ。

だからこそ。

「そいつ、殴りたくね?」

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女と結婚した女だけど質問ある?

牧村朝子

フランス人女性と同性結婚をした牧村朝子さん。彼女が自らのレズビアンとしての経験を生かしてつづった新書『百合のリアル』(星海社新書)は、人間の性についてのあり方に悩んでいる人にエールを送る内容で、好評を博しています。そんな牧村さんが『百...もっと読む

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コメント

efb_charon https://t.co/3CnusEyBxy 3ヶ月前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu フランス語には「痴漢」にあたる単語がなく、日本語で言う痴漢対策は「性差別的ハラスメントと性暴力に抗う国家プラン」っていう戦闘力つよめの名前で政府から出されたという話、すきhttps://t.co/hDvwR1sg7W https://t.co/WHBMOl48fk 3ヶ月前 replyretweetfavorite

makimuuuuuu 【エッセイ】 「露出の多い格好は避けましょう」的な、なんで加害者側の都合で被害者側が自由を制限されなあかんの的なアレが絶滅しますように(なむなむ) 9ヶ月前 replyretweetfavorite

ochibichang https://t.co/qzUOP9KA2S フランスの国家プラン最高だな。 9ヶ月前 replyretweetfavorite