百鳥ユウカがバスルームから上がると新しい部屋着がすでに用意されていた。
時刻はすでに夕方4時を回っていた。
通された客間は大きなベッドが中央に置かれ、ヨーロッパ貴族のサロン部屋のように調度品には装飾がほどこされ、家具はまるで一流ホテルのように重厚だった。
澤絵アキは夕飯の準備をするからといって、また、ひとりで厨房に入っていた。ユウカは夕飯ができるまでの間、客間で自分の荷物の整理をすることにした。
(アキさんは、竜平さんとどうして知り合ったんだろう?)
(このすごい豪邸に、竜平さんと二人で暮らしているのかしら?)
次から次に疑問が頭をよぎっていく。でも、どう質問をしても不躾なような気がして、どう聞いたらいいのかわからない。現に私は顔に表れやすい性格だから、さっき失礼なことを考えていることをあっさりアキさんに見破られた。でもしばらく、この家でお世話になるんだし、あんまり詮索するのはやめておこう。
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