主観的なキャラ付け、無理なキャラ付けは逆効果?
芳麗 私、今回はもう一つ吉田さんに聞きたいことがあるんです。それは、SNSにおける自己発信について。私はSNSを本格的に始めたのも遅かったし、怠惰だから、いまだに使い慣れていなくて。
吉田さんは、ツイッターをいち早く始めて、「ツイッターってラジオだ!」っていう本も出されていますよね。
吉田 この本が出たのは5年前だから、だいぶ内容が古くなりましたよね。僕の場合、ツイッターって、初めはこんなにおもしろいものがあるんだって感じで触っていたけど、今ではほぼ社交のために使ってます。自分の思ったことを伝えたいとか、純粋に楽しいとか思う気持ちは、いろんな理由があって過ぎてしまいました。
芳麗 いろんな理由ってなんですか?
吉田 一言で言うと、SNSがテレビと同じものになっちゃったからです。最近、テレビとネットはみんなが納得することしか言えないし、言わないですよね。
芳麗 たしかに不用意なことを書くとすぐ厳しいツッコミが飛んでくる。
吉田 もう、面倒臭いったらない(笑)。その点、ラジオはそのあわいにいて、今でも他の人が言えないこともざっくばらんに話せる。これがおもしろいところです。
芳麗 じゃあ、吉田さんにとってネットはもう主戦場ではないんですね。
吉田 ネットだけで生きていこうとは思わないです。ネットは、あくまでもメディアのひとつだし、ある現実とある現実の間にあるものですから。向こう側の現実まで届かないインターネットなら意味がないと思う。
芳麗 それは確かに。
吉田 自己発信については、真面目なことを言うと、僕は自覚的に行う必要ないと思うんですよ。SNSの場合、YES/NOだけのシンプルな受け答えとか、何をRTするかだけでも、十分にその人となりが出ていますから。
自分の印象は相手が判断することだから、「私をこういう風に理解してください」って自己アピールするのは不自然だし、つまらないと思う。
芳麗 でも、ここ数年は、SNSの世界を中心に、みんなセルフプロデュースと自己PRしているなっていう印象があります。
吉田 たしかに、アイドルグループなんかもますますその傾向が強まっていますね。これは変だなって思ったのは、「力持ちキャラ」のアイドルがいるんです。ファンとしては、「それでいいのか、そういうことじゃないぞ!」って思う。
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