社会人になっても、「勉強時間」がある生活を
——「フリーランスの勉強家」として、兼松さんが新しく始めた「スタディホール」というプロジェクトについて教えてください。
ひとことでいうと、「スタディホール」という空間的/時間的な手法を確立し、スタディ(勉強)の習慣をもっと身近なものにしていこうというプロジェクトです。
例えばイノベーションが異質なモノやコトの「新結合」であるとすれば、“イノベーティブな人”ほど日頃から様々なスタディを繰り返しているはず。だからこそ勉強が持つネガティブなイメージを変え、スタディを促すだけでなく、スタディした内容を共有する機会が増えていけば、さっき言ったマイプロジェクトのように、もっとたくさん面白いことが生まれると思ったんです。
——「スタディホール」とはどういう意味なんですか?
もともと「自習室」という意味なのですが、「自習時間」という意味もあって、時間と空間のダブルミーニングに可能性を感じています。最近では、株式会社ワコールが京都駅前にオープンした「ワコールスタディホール京都」にも採用していただいて、ありがたかったですし、驚きましたね。
そもそもの発端は勉強家として、最近の「勉強離れ」の傾向に危機感を感じていたことです。例えば「社会生活基本調査」によれば、日本人有業者の「学習・自己啓発・訓練」時間は1日あたり7分なのだそう。それって本当なのかなって。
日々の暮らしのなかに、「趣味・娯楽」「食事」「身の回りの用事」「買い物」などがあるとして、「食事をしながらスタディホール」もできるし、買い物で立ち寄った「コンビニで(略して)スタホする」こともできますよね。ちなみに僕は「睡眠しながらスタホ」しています。
——えっ、どうするんですか?
眠る前に“問い”を頭に入れておいて、目覚めたあとに思い浮かんだことをメモするんです。そうすると僕は無意識ながら6時間勉強したことになるので、日本人の平均勉強時間を少しは押し上げたことになります(笑)。
——そう考えると、勉強している時間って案外たくさんありそうですね。
勉強を習慣にするには、空間的、時間的な仕掛けが必要だと思っていて。例えば「5-minute Studyhall Solo @ Station(ひとりで、5分、駅で)」なら、僕が「勉強空間/時間」についてスタディしていることを知っている友人に「突然ですみません。あなたにとって大切な勉強時間はいつですか?」とアンケートをとってもいいかもしれない。あるいは「30-min Studyhall Pair @ home with a blank paper(ふたりで、30分、家で、白紙の紙を使って)」なら?「7-day Studyhall Trio @ Hawaii(3人で、7日間、ハワイで)」なら?
こんな感じで、いろんな勉強空間や時間のつくり方を集めて検証していきたいですし、ゆくゆくは「整理収納アドバイザー」みたいに「勉強空間アドバイザー」の資格をつくれたらいいなと思っています(笑)。
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