幸せな挑戦

第1回】僕が『幸せな挑戦』を書いた理由

3月9日に角川oneテーマ21から発売される中村憲剛選手の『幸せな挑戦――今日の一歩、明日の「世界」』。cakesでは中村選手が自身のキャリアや思考法について明かした本書のダイジェストを連載していきます。この連載に先立ちまして、中村選手にインタビューを行い、執筆のきっかけや、この本を通して伝えたいことについて、話を聞きました。(取材・構成:内池久貴/取材日2013年2月22日)

 

 

 4年ぶりの著書として今回、『幸せな挑戦』を出します。前回の本はサッカーの技術書に近かったんですが、今回は新書なので、サッカーファンだけではなく、老若男女問わず多くの人に読んでもらいたいと思って、そういう内容にしています。

 この本の帯には「非エリート」と書かれていますが、これまでの僕は、サッカーの王道を走ってきたわけではありません。小学校高学年から高校2年までクラスでいちばん身長が低かったし、足も遅かったので、ずいぶん挫折をしてきています。

 そういった中で、自分のコンプレックスをポジティブな考え方に転換しながら、ここまでやってきました。そういう部分に関しては、サッカーだけじゃなくて、どの世界で生きている人にも通じるところがあるのではないかと思います。

 たとえばビジネスマンの方が、ここに書かれている僕の人生、僕のやり方を知ることで、「ああ、そういうこともあるのか」とすこしでも引っかかる部分があるんじゃないかなと思います。僕はこれまで、様々な年代や職種の違う人たちとの交流をさせて頂いてきました。その中で常に刺激を受けて成長してきました。自分にはない経験をしていたり、自分とは違う感覚を持っている人たちの話は聞いているだけで面白いし、リスペクトしています。同じように僕から刺激を受けたと言ってくださる方もいらっしゃるので、この本もそういう役割を果たすことができたならいいなと思っています。

 人は置かれた環境の中でいかに頑張っていくか。その環境を変えていくためにどう自分を変えていくかということ考えることが出来ると思っています。そういうことを考えるきっかけとして読んでもらえたら嬉しいですね。

少しずつうまくなっていくことへの挑戦
そこに限界はないし、天井もない

 本のタイトルはかなり考えましたが、僕自身は気に入っています。自分っぽいというか……。サッカーが好きだから、どこまでも上を目指そうとしてそれを続けている。「中村憲剛」のスタンスがわかりやすく出ているタイトルになった気がします。

 僕にとって“幸せな挑戦”とは何かといえば、昔も今も、そしてこれからも変わらない。毎日毎日サッカーを続けているなかで、練習があって、試合があって。クラブも代表も、すべてがチャレンジです。昨日より今日、今日より明日と、少しずつでもうまくなっていくことに挑戦しているわけで、そこに限界はないし、天井もない。

 サッカーは、うまくなればなるほど楽しくなるものだし、どこかで満足できるものでもありません。ある程度、自分のプレイに満足できた試合があっても、試合そのものは負けるということもあります。そういうところが難しくもあり、おもしろくもある。メッシやクリスティアーノ・ロナウドだって、負けるときは負けます。そういう世界の中でプロとしてやれているのは、それだけでも幸せです。そこで「もっとうまくなりたい」という気持ちをなくさずにいるからこそ、続けていられるんだと思います。

 所属している川崎フロンターレに関しては、今は期待しかないですね。この2年はJリークで11位、8位とあまり良い成績ではなかったので、自分たちの足もとも見なければいけないのですが、やるからにはてっぺん目指してやるというのはいつでもかわりません。

 今シーズンのチームの目標はACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)の出場圏内(Jリーグ3位以内)です。そこに入っていければおのずと優勝争いもできてきます。シビれる優勝争いをまたやりたいという気持ちを常に持ってやってきています(06年から09年まで優勝争いに加わるシーズンが続いていた)。下を向いているのと上を向いているのとでは、全然違いますから。

ナンバーワンを目指すからこそおもしろい
そこそこでいいと思えばそこで終わる

 年齢に関しては、30代の選手に対する世間の目は厳しくなっていますが、僕自身は衰えを感じていないし、今でも毎年、成長している実感があります。今年で33歳になりますが、あと何年……というように考えたことはないですね。いつまで、どこまで、などとは考えずにやってきたなかで、自然に年だけは重ねてきた感じです。

 サッカーの世界でもそれをやれているんですから、他の世界でやっている人たちも、簡単にあきらめてほしくはない。年齢だけの問題じゃないし、会社という組織の中で仕事をする難しさ・大変さは理解できますが、どんなことであっても「やればやるだけ伸びていく」と思っています。好きで始めた仕事ならなおさらそうですが、そこでナンバーワンを目指してほしい。ナンバーワンを目指すことこそがおもしろいんであって、そこそこでいいと思っていたらそこそこで終わる。それではおもしろくないと僕は思います。

 2月(2013年)の代表戦では選考から漏れましたが、それはやっぱり悔しいことです。もし、その悔しさを感じないようになったならそこまででしょう。最近はヨーロッパでプレーをする若い選手も増えていますが、自分が力を発揮したなら海外組も国内組も関係ない。僕自身は自分にやれることをやって、2014年のブラジルワールドカップで活躍することを目指しています。

 この年齢になっても、「サッカーが好きで、やっている」という土台は少しも変わっていません。今でもサッカー少年と同じです。30代後半くらいになれば自分のことをサッカー少年と言うのは恥ずかしくなるんじゃないかと思いますが(笑)、サッカーが好きだという思いが薄れてきたなら、その時点で僕のサッカー人生は終わる気がします。

 『幸せな挑戦』の中ではそういうことも書いています。ここまでいろんな壁にぶつかってきた僕がどうやって、どう考えて這い上がってきたか……。常に勝ち続けてトップにいる人は、どの世界でもひと握りです。みんな何かしらの悩みやコンプレックスを持ちながら、壁にぶつかって悩みながらやってきているんだと思います。そういう人に読んでもらって、何かひとつでもヒントを掴んでもらえたなら嬉しいですね。

 最近はいろんな選手が本を出していますけど、またサッカー選手の本かよ、とは思わないで(笑)、まず手に取ってみてほしい。みんな、それぞれの人生があって、考え方も全然違いますから。中村憲剛という非エリートの話も、楽しんで読んでもらいたいですね。

※3月4日(月)掲載分の次回より書籍のダイジェストを掲載いたします

 

本連載の内容をあますところなく楽しめる1冊、
3月9日に発売です!

幸せな挑戦    今日の一歩、明日の「世界」


幸せな挑戦 今日の一歩、明日の「世界」
中村憲剛 [発行]角川書店 [発売]角川グループパブリッシング
発売日:2013/03/09
定価:820円(税5%込)
※角川書店特設WEBページ http://www.kadokawa.co.jp/kengo/

 

角川新書

この連載について

幸せな挑戦

中村憲剛

全国大会に出場したのは小学校の時だけ。選抜歴も同じ小学生時代の「関東選抜」が最高キャリア。幼い頃から体も小さく、中学入学時の身長は「136cm」。ぶつかっては吹っ飛ばされ、自分よりスピードのなかったライバルに成長差から追い抜かれ・・・...もっと読む

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コメント

climat 読んでないやつ。あとで読む。 約3年前 replyretweetfavorite

jeeeeere 今日はケンゴウの力が絶対に必要になる! 4年以上前 replyretweetfavorite

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