幸せな挑戦

第5回】今、ここにいることへの感謝

「非エリート」である中村憲剛選手が、日本代表まで上りつめることができたのはなぜか? ――中村選手の今があるのは、大学までサッカーを続けさせてくれた両親をはじめ、多くの人たちの協力があったからだといいます。連載最終回となる今回のcakesでは、中村選手の考える「幸せな生き方」について、第5章「感謝、感激、感動!」よりご紹介。

 プロになってすぐの頃、太田哲也さんという方が書いた『クラッシュ—絶望を希望に変える瞬間』(幻冬舎文庫)という本を読んだ。

 レーサーだった太田さんは、1998年の全日本GT選手権のレース中に事故に遭い、瀕死の重傷を負ってしまった。全身の火傷も壮絶で、自分の子供に見せられないほど顔も変わったという。手足も思うように動かせなくなっている状態だったが、そこから懸命なリハビリを続けて、新しい生き方を見つけていくまでの過程が描かれている。

 この本を読んだとき、何不自由なくサッカーができていることはものすごく幸せなことなのだと強く実感した。そのこと自体に感謝したいし、そういう立場にいる自分は、できるだけ多くの感激や感動をひとに伝えていかなければならないのだともあらためて思った。

 『クラッシュ』と、その続巻といえる『リバース—クラッシュ〈2〉魂の戻る場所』(幻冬舎文庫)を読めば、あきらめないことがいかに大切であるかもよくわかる。夢に向かってあきらめない心を持つだけでなく、ひとつの夢が断たれたとしても、そこから何ができるのかが問われることになる。

 フロンターレの会報で、この本について紹介したことをきっかけに、後日、太田さん本人と直接会うこともできた。それもやはり、僕がプロ選手になっていたからこそのことだろう。自分がそういう恵まれた環境にあることを忘れてはいけないと心がけている。

大好きなサッカーを続けられる幸せ

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幸せな挑戦

中村憲剛

全国大会に出場したのは小学校の時だけ。選抜歴も同じ小学生時代の「関東選抜」が最高キャリア。幼い頃から体も小さく、中学入学時の身長は「136cm」。ぶつかっては吹っ飛ばされ、自分よりスピードのなかったライバルに成長差から追い抜かれ・・・...もっと読む

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kadokawaone21 一昨日に日本代表に選ばれた中村憲剛選手、cakesさんでの連載は本日分で最終回です!タイトル「幸せな挑戦」に込めた気持ちも明らかに!→ 5年弱前 replyretweetfavorite

kadokawaone21 日本代表に選ばれた中村憲剛選手。新刊『幸せな挑戦』からのcakesさんでの連載第5回、最終回が本日更新されました!  5年弱前 replyretweetfavorite

satoshikkc 日本代表に選出された中村憲剛選手の連載最終回です!  5年弱前 replyretweetfavorite