シンデレラストーリーなんて嘘
「私、整形してるんです」
こう人に打ち明けると、「整形したら人生変わった?」と聞いてくる人が多い。最初に結論を述べると答えは半々だ。生き方は変わったけれど、180度人生が変わったわけではない。
ドラマや映画などでよくある、”元々すごくブサイクだったのに整形したら絶世の美女になって、男もお金も手に入れて人生が上手くいった”というシンデレラストーリーは、実際にさまざまな箇所を整形してきた私から言わせてもらうと、違和感しか感じない。
整形は魔法ではないから、ちょっと整形したぐらいじゃそんな簡単に別人のようにはなれない。私もまだ理想の顔にはなれていないから、現在進行形で整形を続けている。そもそも整形したからといって必ず美人になれるわけではない。失敗だってあり得るし、理想とかけ離れた仕上がりになることだってある。まるで、一種のギャンブルだ。
それに、整形後の人生がすべて上手くいっているかといえば、そうとは言えない。この連載で少しずつお話していこうと思うが、家族や友人との関係、恋人に整形したことを打ち明けるかどうかなど、苦労や悩みはそれなりにある。
でも、それでも私が整形し続けるのは、 なにか行動を起こすとき、叶えたい夢があるとき、負けたくない恋をしたときに可能性がぐんと広がるから。成功する確率が圧倒的に高くなるから。
そんなの幻想だと言う人もいるかもしれないけれど、 たくさん整形をし、見た目が大きく変わった私だからこそはっきりと確信を持って言える。
美しい方が得をするし、有利だ。
具体的には、この連載で少しずつ話していこうと思うが、これだけは言える。美人になってからの方が圧倒的に生きやすい。
きっかけは仲良しだったAちゃん
幼少期、まわりの大人たちは私を見て口を揃えてこう言った。
「可愛いねぇ」
小さい頃は、自分のことを可愛いと思っていた。他の子を知らないし、比べられることもなかったし、みんな私を可愛いって言ってちやほやしてくれていたから。
初めて違和感を覚えたのは小学生のときだった。そのころ、毎日一緒に遊んでいた仲良しのAちゃんという女の子がいた。小さな顔、大きくてクリクリな目、スッとした鼻、サラサラの髪。Aちゃんはすごくかわいかった。周りの大人たちはAちゃんと私を交互に見て「Aちゃんは可愛いねぇ」と言った。
そのまま一緒の中学校に進学した私たちは運良く同じクラスになった。またAちゃんとずっと一緒だ!嬉しい!と思っていた。そのときまでは。
成長したAちゃんはさらに美しさを増し学校でも話題になっていた。他のクラスの男子たちはこぞってAちゃんを見に来る。
「Aちゃん!メールアドレス教えて」
「Aちゃん可愛いね」
「Aちゃんこんど遊ぼうよ」
AちゃんAちゃんAちゃんAちゃん…。
だれも私を見てくれなかった。いつもAちゃんのすぐ横にいるのに、一緒にいるのに、私の名前を呼んでくれる人はいなかった。
Aちゃんと一緒にいるとナンパもよくされた。ナンパ男はもっと露骨に、私の存在を無視した。目線が全く合わないし、喋りかけられもしない。もちろん、私はできる限りの努力はした。毎日何時間もかけてメイクの練習をしたり、ダイエットをしたり。でも、どんなに頑張っても元から可愛い子にはかなわなかった。
可愛くないと必要とされない。
可愛くないと存在を認めてもらえない。
そんな絶対的価値観ができあがってしまった私は、大人になったら必ず整形して美しくなってやる、と心に誓ったのだった。
初めての整形。そして数カ月後には…
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