なんで宮崎アニメのキャラクターは五輪閉会式に起用されなかったのか?
おぐらりゅうじ(以下、おぐら) 今回は『ポケモンGO』について話そうと思っていたんですけど、一気に世間の話題は、ポケモンからマリオに変わりましたね。
速水健朗(以下、速水) オリンピックの閉会式ね。風呂から阿部寛が出てきて皆驚いた。
おぐら それ『テルマエ・ロマエ』です。土管から安倍晋三首相がマリオの扮装で出てきました。ただ、せっかくのマリオ姿があまりにも一瞬で、むしろそっちに驚きましたよ。やりきってこそのコスプレでしょう。ドンキで売ってる着ぐるみじゃないんだから。
速水 安倍首相が扮装ってインパクトはある。でも、いまだったらピカチュウだろうって声もあったけどね。まあ今年の頭から動いていた企画なのでマリオということになったのは当然だろうね。
おぐら せめてもの思いなのか、手にはポケモンボールを持ってました。
速水 あれは日の丸ね。とにかく、閉会式はほんとよかったと思う。ネットでも絶賛の声が多数派だよね。海外の反応も上々*。
* 安倍マリオ、海外の人たちが大喜び「こんなすごい光景見たことない」【リオオリンピック】
おぐら もちろん、一部では反発もありつつ。
速水 そりゃあるよ。文化人がオリンピックに批判的っていうのは、いまに始まったことではない。1964年のときだって批判されたっていう記事を辻田真佐憲が書いていておもしろかった。その後、彼らの多くは転向するんだけど*。
* オリンピックの熱狂と「転向」する文学者たち 2020年われわれは冷静でいられるか
おぐら 僕はやっぱり、椎名林檎がクリエーティブスーパーバイザーと音楽監督、Perfumeなどの振付師として知られていたMIKIKOが総合演出と演舞振付、チーフ映像ディレクターに児玉裕一、AR技術などを用いたチーフテクニカルディレクターに真鍋大度、中田ヤスタカも音楽を担当、っていうのがもう! ずっと追いかけてきた同時代のポップカルチャーを牽引している人たちがずらりと並んだスタッフクレジットを見て、感激しちゃいました。
速水 チームPerfumeの勝利って言われているよね。宇野惟正の『1998年の宇多田ヒカル』の中では、椎名林檎が東京オリンピックを見据えた活動に移行しているってことが書かれていたけど、その野望が見事実現化しつつあるということだろうね。
おぐら 4年後もこのチームを中心にして、とくにテクノロジーの分野では、チームラボの猪子寿之やAR三兄弟の川田十夢にも参加してほしいです。
速水 ネットでは某アイドルチームとか某色黒集団が選ばれなかったことに安堵している向きも多い。個人的には、YOSAKOIソーランが排除されたことが何よりもうれしいけど。
おぐら 日の丸はモチーフとして多用されていましたけど、ジャポニズム的な方向は安易に想像できますよね。その点、リオの閉会式では、応援団をイメージしたって言うのがお見事。東京では氣志團もありですね。
速水 アニメやゲームも総動員だったわけだけど、中には抜けてるものもたくさんあった。
おぐら ラジオで町山智浩さんが、ジブリ作品が出てこなかったことを指摘して、おそらく宮崎駿が安倍政権に荷担したくないから拒んだのだろうと。
速水 ムスカくらい貸してあげてもいいのにね。
おぐら 「素晴らしい! 最高のショーだとは思わんかね!?」って言ったあと、観客に向かって「見ろ! 人がゴミのようだ!」って。
速水 東京の街をレーザーで焼き払う。
おぐら その炎で聖火台に点火!
速水 巨神兵を出してもいいね。聖火で街を焼き尽くす。
おぐら 焼き尽くすのは、せめて閉会式後にしてください……。
やだ……『ポケモンGO』すごすぎ……
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