優秀な若い人に、ジェラシーを感じます
吉松 社会の穴を埋めるのが起業家の役割、という話がありました。いま藤野さんがたくさんの社長を見られていて、最初から大きな穴を狙いに行く人と、小さな穴をちょこちょこ埋める人、どちらのタイプの社長が多いと感じますか?
藤野 そうですね、今は二極化している印象があります。雲をつかむようなことを言って、実際に実現できていない人と、すぐ埋まるような小さな穴ばかり発見している人。いま伸びている人は、そこそこの穴を見つける能力を持った人ですね。
吉松 そこそこの穴、ですか。
藤野 マーケット全体で10億くらいの穴は、埋めた後の広がりがないから、お金も集まらない。逆にマーケット全体で1兆だと、その人の手に負えない可能性がある。そこで、100億〜150億くらいのちょうどいいマーケットで、かつそのマーケットが年々大きくなっていくところが「そこそこの穴」ですね。かつてのインターネットが、まさにこれだったんですよ。
吉松 ああ、昔のインターネットは小さなベンチャーが参入できるくらいの穴だったんですね。今は穴が巨大になってきたから、この時代にサイバーエージェントの藤田(晋)さんみたいな「21世紀を代表する会社を創る」という若手が出てきても、雲をつかむような話になってしまうかもしれませんね。
藤野 そうですね。でもいまは、そのインターネットという領域に、また小さな穴があいているんですよ。例えば、2000年の初頭に「クックパッド」のサービスは成り立たなかったかもしれないけど、2005〜2006年あたりから成り立つようになってきましたよね。
吉松 地殻変動で、穴の位置や規模が変わるということですね。
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