イヤな人」を掘り下げるのが好き

先日『コンビニ人間』で芥川賞を受賞した村田沙耶香さんと、不倫×SFという斬新な取り合わせで話題となっている漫画『あげくの果てのカノン』の作者・米代恭さん。対談の中編は、作品のどちらも「世界に対する息苦しさ」がキーワードといえる作品ですが、おふたりとも「イヤな人を掘り下げる」のが好きという不思議な共通点がありました。

『コンビニ人間』はハッピーエンドか?

— 村田さんが他に『あげくの果てのカノン』で印象に残っているシーンはありますか?

村田沙耶香(以下、村田) 私、泣いちゃったのは4話ですね。

— 友達に「この人どう?」って男友達に会わされたかのんが、先輩に対するストーカーぶりを笑われるという。

米代恭(以下、米代) 4話は描いてる私も苦しかったです。これ、半分くらい実話なので……。雑誌ではあまりにも重苦しいトーンで描きすぎてしまって、担当編集者に「単行本ではもうすこし柔らかくしましょう」と言われて直したくらい。

村田 そこまでは人間を「修繕」して戦わせている世界のグロテスクさについて考えていたんだけど、あんなに好きな人がいるかのんに「この人と付き合うのはどう?」って言えてしまう周囲の存在ほどグロテスクなものはないなと絶望しました。


『あげくの果てのカノン』146-147ページより

米代 はい。

村田 だから、あそこでかのんがテーブルをひっくりかえして「勝手に先輩の気持ちを代弁しないでよ!」と叫んだことに、驚きました。ゼリーと戦っている先輩と周囲と戦っているかのんが交互に描かれて、かのんが立ち上がって外に出ると、ゼリーが倒されて空が晴れて心地良い風がふいている。あそこでいつもジーンとしてしまいます。本当に良いシーンなんですよ。

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あげくの果てを知りたくて—村田沙耶香×米代恭対談

村田沙耶香 /米代恭

先日『コンビニ人間』で、芥川賞を受賞した村田沙耶香さんと不倫×SFという斬新な取り合わせで話題となっている漫画『あげくの果てのカノン』の作者・米代恭さん。満員御礼となったお二人の対談イベントを全3回でたっぷりとお届けします。ふたりが考...もっと読む

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コメント

vc10derness それなー >米代 ……社会から見て間違っているように見えても私の世界はここなんだと宣言することは本当に大変で、でも村田さんの作品ではそういう選択をしてくれるキャラが多い | 約4年前 replyretweetfavorite

consaba 村田沙耶香+米代恭 『コンビニ人間』はハッピーエンドか?  約4年前 replyretweetfavorite

midori_kinoko 「醜い感情を書いていると、人間がどんどん好きになる」のすごくわかる。 約4年前 replyretweetfavorite

eri_n_551 あげくの果てのかのん面白そう 約4年前 replyretweetfavorite