ゴーストバスターズ』 敵は幽霊? 誹謗中傷? レーティング?

大ヒット作『ゴーストバスターズ』のリメイクが、ついに公開されました。女性4人組が幽霊に立ち向かう本作は、いかなる困難を乗り越えたのか? そして、作品の魅力はどこにあるのか? ブロガーの伊藤聡さんが読み解きます。

1984年に公開された人気映画『ゴーストバスターズ』がリメイクされた。ニューヨークに出没する幽霊を退治する男性科学者4人組を描いた作品が、女性4人組に入れ替わっての再登場である。役者陣には、クリステン・ウィグ(43歳)、メリッサ・マッカーシー(45歳)、ケイト・マッキノン(32歳)、レスリー・ジョーンズ(48歳)と、コメディの経歴を持つベテランの女性俳優が集められた。監督には、『ブライズメイズ』(’11)や『デンジャラス・バディ』(’13)などのコメディで知られるポール・フェイグ。

コロンビア大学で素粒子物理学を研究する主人公エリンは、テニュア(終身雇用資格)取得目前で職を失ってしまう。彼女がかつて書いた、幽霊の存在を訴える本が大学側の目に止まり、研究者としての信用を失墜させたためだ。行き場を失ったエリンは、かつて共に幽霊研究に没頭した旧友アビーと再会、幽霊退治の会社を始める。

リメイクが決定した段階から物議をかもした映画である。出演女性の容姿や年齢に対する激烈な中傷は、監督をして「これまで2年間、人生のうちで誰も目にすることがないような最悪の女性嫌悪発言にさらされてきた」と言わしめたほどだ*1。また、人気作品のリメイクには重圧も伴う。

かかる困難な状況下で製作にあたった監督ポール・フェイグにとって、本作は絶対に負けられない戦いであったろうと想像する。優れた映画を撮ることで、理不尽な女性嫌悪やリメイクの重圧をはねのけなくてはならない。インターネットに「女に幽霊退治なんかできるか」と書き込まれれば、それを映画のせりふに取り入れるような強気の姿勢があった*2。人気映画のリメイクというチャンスを得た監督は、女性版ゴーストバスターズを撮ることで、誰もが認めるコメディの傑作をユニークに再構築できると踏んでいた*3。そんな監督の前に立ちはだかった困難は、レーティングであったと私はおもう。

アメリカでは、映画鑑賞の年齢規制枠であるレーティングが厳格である。暴力や性描写、酒や薬物の描写、卑語などを盛り込んだ作品には年齢制限がつく。ポール・フェイグの代表作『ブライズメイズ』『デンジャラス・バディ』『SPY』(’15)は、いずれもR指定(17歳以下の鑑賞には両親もしくは成人保護者の同伴が必要)。これまで彼は大人向けの作品ばかりを撮っていたのだ。

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およそ120分の祝祭 最新映画レビュー

伊藤聡

誰しもが名前は知っているようなメジャーな映画について、その意外な一面や思わぬ楽しみ方を綴る「およそ120分の祝祭」。ポップコーンへ手をのばしながらスクリーンに目をこらす――そんな幸福な気分で味わってほしい、ブロガーの伊藤聡さんによる連...もっと読む

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