世界の広げ方

好きだったり居心地が良くても、いつも同じことばかりしていたら世界が狭くなってしまうもの。かつて本とレコードだけに囲まれて生活していたというbar bossa店主・林伸次さん。この仕事を初めてさまざまな人と話すようになって世界が広がったという林さんが、お客様から聞いた世界を広げる方法を伝授します。

毎回ランチは違う店に行くルール

いらっしゃいませ。
bar bossaへようこそ。

僕、実はすごく怠惰な人間でして、放っておいたら楽な方へ楽な方へ流されてしまうんですね。だから、例えば「毎日1本何か書く」とか「携帯電話は持たない」とか色々とルールを決めてしまって、逃げられないようにして「実行」するのが好きなんです。最近は「渋谷のランチは入ったことのないお店に入る」って決めています。

ところで、あなたは毎日お昼ご飯に何を食べていますか? 社員食堂、コンビニ弁当、近所の牛丼屋、ラーメン屋、パスタ屋とか定食屋とかいくつか候補があって、それをグルグルとその日の気分で回っているだけじゃないでしょうか。僕も似たような状況だったのですが、「せっかく毎日一回、外で食事をしているんだから、必ず知らないお店に入って、毎回、新しい体験をするってどうだろう?」って決めてしまったんです。

最初のうちは前から気になっていた焼き魚定食が美味しそうなお店とか、有名だけど行ってなかったカレー屋さんとか、とにかく新しくて楽しい体験ばかりだったんですね。でも、当然のことながら、あっと言う間に気になってた美味しそうなお店は行き尽くしてしまったんです。

そこからは苦難の旅が始まりました。まず、ジャマイカとかペルーとかトルコとかベトナムとかの「各国料理」を行き倒しました。でもそれもやっぱり行き尽くしてしまいまして、今度は焼き肉屋やお好み焼き屋といった鉄板ものに走りました。

あとは、本来はかなりディープな飲み屋なんだけど、ランチもやっているお店にも行きました。ちなみにこのジャンルでランチをやっているスナックというのがありまして、これが本当に深いです。この世界についてはまた機会があれば書きたいと思います。

さて、ご存知かどうか飲食店の原価率は3割なんです。例えばサンマの焼魚定食800円というメニューがあれば、ご飯のお米とサンマと大根おろしの大根とスダチと味噌汁の具材と味噌とお漬物の諸々と小鉢のキンピラのゴボウと人参が240円以内に収まっているというわけです。これが結構難しいんです。それを色々と「このお店がんばってるなあ」とか「このお店はとりあえずお腹いっぱいを目指してるんだなあ」とか考えると楽しいですよ。

毎回ランチは違う人と行くルール
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ワイングラスのむこう側

林伸次

東京・渋谷で16年、カウンターの向こうからバーに集う人たちの姿を見つめてきた、ワインバー「bar bossa(バールボッサ)」の店主・林伸次さん。バーを舞台に交差する人間模様。バーだから漏らしてしまう本音。ずっとカウンターに立ち続けて...もっと読む

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コメント

saakurada お昼を出来るだけ違う人と食べるの、重要だからといつも心の中で掛け声ばかりかけつつ、時間に追われて一人で飲み込むばっかりになるので、打率がかなり低い。 3年弱前 replyretweetfavorite

SiouxsieQ5 |林伸次 @bar_bossa |ワイングラスのむこう側 自分も、放っておいたら同じところしか行かないので、無理やりなルールは作った方がいいな。 https://t.co/2G20SryUTU 3年弱前 replyretweetfavorite

YukariWatanabe 私も放っておくと自宅で読書してしまうタイプ。なので、自分の背中を押して取材に行き、スーパーで知らない人に声をかけて話を聞くのですが、いろんなルールがありそうですね> 3年弱前 replyretweetfavorite

nishiaratter ランチやってみたいなぁ。結構難しいのはよくわかります⇒ 3年弱前 replyretweetfavorite