嘘をつくってそんなに汚いことでしょうか。
マテ貝は敵に狙われると、自分の一部を切り取り、それをおとりにして砂に隠れて命を守るらしい。
スカンクは悪臭で身を守り、ハリネズミは全身の針で。
生き物は生き延びるため独自の習性を身につける。
メンヘラも自分を守るために嘘をつくのではないか。
嘘つきが泥棒のはじまりだとすると私は泥棒なのだろうか。いや、(元)メンヘラだ。 メンヘラは嘘をつきやすい。
必ず歴代の彼氏に「余命一年なの……」と言うYちゃん。ドタキャン理由としての「親戚に複雑な事態が……」を同じ相手に何度も使ってしまうSちゃん。「田中くん(仮名)という元彼が死んでしまった」というウソを田中に知られてしまったAちゃん。
今日は、数あるメンヘラのなかでもそんな、虚言をくりかえすタイプの「虚ヘラ」の風を読み解きます。ほんとだよ?
うそつきはメンヘラのはじまり
誰かとごはんを食べてるとき、相手に「まだ食べれる?」と聞かれると、「あー!わたしもうおなかいっぱい!」と答える。極空腹でも。これは卑しいと思われたくないというプライドが発動している嘘ガンダムで、低血糖のわたしは空腹に震えながら「おなか、全然すいてない、、、、(震)」と嘘の自分を操縦する。
家族連れやカップルだらけの混みあったファミリーレストランに1人で入ってしまったときも、「あー、はい、お世話になってます」と誰ともしゃべってないiPhoneに話しかけながらPCを開いて座るという嘘演出をすることもある。これは友達も仕事もなくシングルレストランな自分を否定する嘘フリマで「わたし仕事してるよー!孤独じゃないよー!見てってー!」と客引きをするも、誰も見てないし聞いてない。
これらは自意識ハイな嘘で、「自分をバカにするかもしれない誰か」という敵から身を守っています。もともと自意識がつよすぎて「アタシはこうありたい!」のイメージや守りたい世界観が強すぎるメンヘラ。まわりが気にも止めないようなことを気にして、巨大な仮想敵から身を守るために嘘をつくこのケース。これらはメンヘラじゃないただの自意識過剰ちゃんもフーッと吹く、そよ風レベルの嘘です。
が、「卑しいと思われたくない」「孤独と思われたくない」など◯◯に見られたくない……の根本にある強すぎる自意識は一周周って「わたしを見て!」に進化することもあります。
はじめは自分のためだけの小さく甘い嘘が、ぐんぐん積ってかたまり全身をおおい、綿菓子のような自己愛つよすぎな甘い嘘を吐く虚ヘラちゃんに進化するのです。
愛のままにわがままに、君だけを傷つけたい台風
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