深田恭子と浜口京子

ここ数ヶ月、テレビに出ている浜口京子のあまりのキュートさに、武田砂鉄さんに本連載で取り上げてくれと要求し続けていました。ようやく武田さんが折れてくれたのですが、わけあってテーマは深田恭子になりました。しかし浜口京子への思い断ち切れず、メールに最近のハマキョン情報を添付したせいで、本連載始まって以来の問題作が仕上がりました。読者の皆様にはご迷惑をお掛けしますが、おそらく今までに見たことがないなにかが見れますので、ぜひ最後までお楽しみください。

イラストは恭子なのに、文章は京子

一度書いた2700字分の原稿を消す。毎週水曜日にアップされるこの連載で取り上げる人選は、イラストを発注することもあって、前週の金曜日に編集者とメールをやりとりして決める。先週は土曜日の早朝から出張する予定があり、いつになく慌ただしいやり取りで決まった。こちらから「個人的には鈴木亜美、浜口京子、深田恭子の三つ巴なんですが、誰がイイでしょう?」と投げると、編集者から「では深田恭子でいきましょう。そういえば、浜口京子が最近PVに出たそうです」とURL付きのメールが戻ってきた。出張から戻り、火曜朝から取りかかった浜口京子論を夕方に書き終えたところでメールを読み返して、青ざめる。書くべきはPVに出ていたレスリング選手の浜口京子ではなく、セクシーショット満載の写真集やインスタが話題の深田恭子のほうだった。このままでは、イラストは恭子なのに、文章は京子という事態に陥ってしまう。

「よく知っている」ばかりを目指すテレビ論

出張帰りの新幹線で読みふけったのは山本明『てれび眼鏡 日本人の日常思想』(社会思想社・1972年刊)である。山本は、テレビ番組に向けられる個々の番組論について、押し並べて間違っていると喝破する。それはなぜか。「人びとは、生活を背負っている。複雑な生活構造をもっている。テレビをみるという行為は、そのほんの一部分」でしかないというのに、個々の番組論はいつだって視聴者の存在をテレビの「受け手」と矮小化し、普遍化して論じてしまう。「視聴者は、生活を背景にしてテレビをみているのに、この方法論では、生活の方がきりとられてしまうのだ」と辛い。

この指摘はなかなか鋭い。視聴者を「受け手」と便宜的に一括りにする行為は、テレビなり芸能人なりを語るときに便利だ。山本は「テレビの視聴者を『受け手』と把握せず、生活者の行為の一部としてみる。つまり、テレビ番組から受ける感銘とかおもしろさとかいうものは、その人の生活や日常の思想とかかわりがある」と考えるべきだとする。ともすれば「よく知っている」ばかりを目指しがちなテレビ論および芸能人論をこうやって牽制したのだ。

深田恭子の情報か、浜口京子の情報か
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ワダアキ考 〜テレビの中のわだかまり〜

武田砂鉄

365日四六時中休むことなく流れ続けているテレビ。あまりにも日常に入り込みすぎて、さも当たり前のようになってしったテレビの世界。でも、ふとした瞬間に感じる違和感、「これって本当に当たり前なんだっけ?」。その違和感を問いただすのが今回ス...もっと読む

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hi4r1_xo cakesで連載してる武田砂鉄さんの有名人コラムがだいすきなんです。 イラストレーターさんは外注のようですが、わたしも絵が描けたら有名人の歯並びコラムがやりたいと常々思ってるのです。それか!誰か!絵!!描けませんか?? https://t.co/cBlStNfUYN 2年以上前 replyretweetfavorite

naotake_hibiya 予習開始早々に問題作に遭遇しましたので共有いたします。 (この連載はいつも読んではいるんだけど) https://t.co/4rNmggc8s9 https://t.co/sE1BtF0vk5 3年弱前 replyretweetfavorite

seikyusha 【告知】「 3年弱前 replyretweetfavorite

ncbgs_f やられたw 3年弱前 replyretweetfavorite