努力は夢中に勝てない

「目標達成が限界の檻をつくる」と指摘する、為末大さん。では、目標に縛られないつよさはどうすれば身に着けられるのでしょうか。今回は、「結果」と「プロセス」の関係に注目します。為末さんが、銅メダルを獲得して、真っ先に感じた想いとは? 発売直後から大反響の新刊『限界の正体-自分の小さな檻から抜け出す法』より、努力という「限界の檻」から抜け出すヒントを明かします。

目標をかなえたあとの「燃え尽き症候群」

「次の目標は何ですか?」

僕が世界陸上でメダルを獲った直後のインタビュー。

勝利の余韻に浸っていた僕は、予想外のその質問に、

「えっ!まだ頑張らなくちゃいけないの!」

と慌てたことがあります。

僕にとってメダルとは、人生をかけて追いかける目標でした。

その目標が、思いがけなく23歳で手に入ります。

目標をかなえたいと強く願うほど、かなったあとの揺り戻しは大きくなります。

しばらくは最高の気分でしたが、3ヵ月を過ぎたあたりから、僕は少しずつ、喪失感を味わうようになりました。これ以上、自分が何を目指せばいいのかわからなくなったのです。

「日本人初の短距離種目、銅メダル!」

前人未到の山を登った先には、周囲の「次は金メダルだ!」というもっと大きな山がそびえ立っていました。

「あの山頂までいけばラクになれる」と必死に目指し、ようやくたどり着いた場所は、山頂どころか、延々と続く山の中腹、次の山の入り口でしかなかったのです。

銅メダルを獲ったすぐあとに金メダルを目指すほど、僕は気持ちを切り替えることができませんでした。次の目標が決まるまで、1、2年間は、空虚感を引きずっていたと思います。

その状態から、どうやって抜け出したか。

僕は、登る山には山頂がないことがわかってから、結果以上にそこに至るプロセスに目を向けるようになりました。

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限界の正体ー自分の見えない檻から抜け出す法

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400mハードルの日本記録保持者で、3度のオリンピックに出場した為末大さんの新境地。人間にとって、才能とはなにか。限界とはなにか。人間の心について学び、アスリートの成功と挫折を見るなかでたどりついた考えとは?? 長い間、人間の限界と呼...もっと読む

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コメント

ipuserpi @lhpat2007 はい!為末大さんのお言葉です! https://t.co/1O8s3KUhBQ 5ヶ月前 replyretweetfavorite

koron9 有料記事だけど、昨日の炎上同人書き方案件の内容に通じる部分がある。そしてわかりやすさ受け入れやすさ。やはり言い方なんだなー   4年弱前 replyretweetfavorite

Tatopon5 趣味ならそうだけど仕事だと目標設定させたがるからねえ>目標を持たず、自分にできる範囲で楽しんでいるかぎり、人は限界の檻に入りにくい。  4年弱前 replyretweetfavorite

sizukanarudon 為末大@daijapan https://t.co/YCaBiqh55K 「そもそも目指す目標がなければ、限界を感じない」 「そもそも、努力をしていなければ、限界を感じない」 夢中で本を読んでいるとき、読書に限界を感じることはないはず。 4年弱前 replyretweetfavorite