日本はいよいよ本格的な夏の到来でしょうか。じつは私、夏が大の苦手です。特に地元の九州は、身体の芯まで焦げそうなほど日差しが強烈で、恐怖すら感じます。
一方フランスの夏はさほど暑くなく、あっという間に終わります。7月半ばごろからはバカンスに行く人が増え、いつもは騒がしいパリもすっかりもぬけの殻に。でも、そんな落ち着いた雰囲気のパリもまたいいものです。
自問自答って難しい
前回は、他人と自分を比べても苦しくならないためには、以下の2つの方法があるとお伝えしました。
1つめは、自問自答を繰り返して「自分の基準」を持つこと。そして2つめは、そのうえで、他人や世間の基準ではなく、「自分の基準」でものごとを決めることです。
これさえできれば、むやみに他人や世間の基準に振り回されて苦しむことはなくなります。ただし、自らに問いかけて答えを出すことは簡単ではなく、私自身もなかなか手こずりました。
そこで今回は、自問自答の答えをどのように出せばよいのか、その方法を、私の経験を通してご紹介していこうと思います。
自問自答の具体的なやりかた
パリでの生活を始めてみると、朝食はこれでいいのか?から始まり、フランス語の勉強法はこれでいいのか? 在仏日本人との付き合い方はこれでいいのか? フランスでの私の生活、こんなんで大丈夫なの?と、疑問を抱くことの連続でした。
ところが、「これでいいのか?」といくら自問してみても、いっこうに答えが見えてこなかったのです。
それもそのはず。私は日本で生きてきた30年間ずっと、無意識に周りと自分を比べては、他人や世間の答えらしきものを基準に生きてきました。自問自答して自分で考えて決めるということは、ほとんど意識してこなかったのです。
そのため、私の自問自答の道のりは前途多難でした。私にとっては、「自分なりの答えを出す」ということが、非常に難しかったのです。
自問しても答えが出ない状況は、人がいるかもわからない深くて暗い洞窟に向かって一人で話しかけているような気持ちになり、不安と孤独がつきまといました。
それでも自分に問い続けることをやめず、なんとか手探りで自問自答を繰り返していた私はふと、あることを思いつきました。
それは、まずは日常生活のなかのささいなできごとで、より簡単な自問をしてみよう、ということです。
たとえば、働き方についての自問自答はこんな感じです。
当時私はレストランで皿洗いのアルバイトをしていたのですが、この「皿洗いの仕事」について、「好きか・嫌いか」「苦手か・得意か」「無理なくできるか・無理しているか」と、シンプルな二択にして自分に問いかけてみたのです。質問を具体的にしたことと、選択肢を減らしたことで、ずいぶん答えを出しやすくなりました。
漠然と「自分はどんな仕事がしたいか」なんて大きな問いをぶつけるのではなく、こうしてテーマを絞り、さらにその1つ1つについて二択の質問をすることで、自問自答のハードルを下げることができたのです。
そしてまた、問いの答えを出しやすくする方法をもう1つ見つけました。それは、「体験してみる」ということです。
体験することで見えてくる「自分の基準」
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